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司馬遼太郎    「風の武士」(上)(講談社文庫)

 昭和36年「週刊サンケイ」に連載された小説。映画化もテレビドラマ化もされていて、司馬三作目の長編小説。司馬はこの作品の後、歴史上の人物を主人公とした小説を描くようになる。その博識により、歴史小説の大御所的存在になり、司馬史観なる独自の歴史観を確立した人物として崇拝された。

 この小説は、歴史小説を手掛ける以前の小説。この小説までは司馬作品は伝奇小説、冒険小説だった。

この小説は紀伊熊野を舞台としているが、司馬は少年時代から熊野の山々が大好きで何回も登っている。戦争で軍隊に入営する前に、死ぬ前に上る最後の山として、友達と3人で熊野の山々に登っている。そこで失踪して九死に一生を得る体験までしている。

 主人公の柘植信吾は貧乏御家人の次男坊。それで家を継げず、さりとてどこかに養子の口があればいいのだが、女道楽のためその口もなく、町道場の錬心館の代稽古人を頼まれてしていた。

 この連心館の道場主平間退耕斎が何者かに刺殺される。実は退耕斎は熊野の山奥にある、いまだに誰もその存在を知られていない安羅井国出身の人物。この山国には、とんでもないお金があると信じられていて、15年前から、そこを所領にしてしまおうと紀州藩が安羅井国探しを必死に行っているがその場所を発見できていない。

 退耕斎は、ひそかに幕府に安羅井国庇護をお願いするために江戸に派遣されていた。
幕府も財政が逼迫していたので、安羅井国を天領とすべく、その場所の探索を主人公の信吾に命ずる。

 実は、退耕斎を殺したのは、錬心館で信吾と同じ代稽古人をしていた浪人・高力伝次郎だった。この伝次郎が手引きをして紀州隠密に退耕斎の娘ちのを拉致させていた。退耕斎はいずれちのを伝次郎の嫁にして錬心館をつがせようと考えていた。

しかしちのは伝次郎より信吾に心を惹かれ、信吾もちのが好きだった。

紀州隠密は、ちのと、安羅井国への道のりが記された絵草紙『丹生津姫草子』を手に入れ、熊野に向かう。

 一方、信吾もたまたま道場にやってきた安羅井人とともにちのを追い熊野に向かう。

絵草紙『丹生津姫草子』に描かれている女性とちのが瓜二つであることが描写される。安羅井国は本当に存在するのか、この瓜二つに隠されたものは何か、そんな興味でわくわくしながら下巻に進む。

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| 古本読書日記 | 06:22 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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