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司馬遼太郎    「歳月」(上)(講談社文庫)

 幕末の戊辰戦争で、彰義隊が殲滅。明治維新になり新政府で、廃藩置県を実行、文部大臣、法務大臣を務め、行政府で参議まで上り詰めるが、その後、行政府に反旗を翻し、地元佐賀県に戻り、「佐賀の乱」を起こす、しかし鎮圧され、高知県で捕縛され、死罪にさせられた江藤新平の人生を描いている作品。

 江藤新平は佐賀県の下級武士の家に生まれる。父親の失敗で、俸禄が藩から支給されず、食うや食わずの窮乏生活に見舞われる。その後、脱藩をして京都に行くが2年後に故郷に戻る。当時脱藩は死罪が当たり前だったが、藩主鍋島閑叟の死罪免除の一言で、これを免れる。その鍋島により京都に派遣され、そこで倒幕運動に加わり、維新政府で参議まで上り詰めるが、一転政府に反旗を翻し、佐賀にて反乱、そして死罪で亡くなる。

 この間、たった5年。人生の振幅の大きさに驚く。

江藤新平の功績は、廃藩置県の実行もあるが、何といってもフランス法を学び、日本の法律の基礎を打ち立てたこと。彼は、世論や政治家の思惑は一切斟酌せず、法によりすべてを判断した。

 彼が司法のトップだった時代、大蔵のトップは井上薫だった。井上は三井とくっつき、三井に利益誘導をして、三井から大きなお金を得ていた。

 尾去沢鉱山が岩手、秋田の県境にある。当時、銅、金を輩出。南部藩の所有だった。戊辰戦争で南部藩は会津藩とともに維新政府と戦ったが敗れ、70万両を賠償金として政府から要求される。困った南部藩は、鉱山資本家だった村井に資金を調達するよう依頼。村井は横浜の外人資本からお金を用立てたが、南部藩から外人からお金を借りるのはまかりならないと外人資本への返済を拒む。外人資本との契約に、返済が滞った場合2万5千両の罰金が課せられるとあったので村井は対応に窮する。
村井は、大蔵省に泣きつく。しかし、契約は南部藩が行ったことで、大蔵省は関係ないと拒否される。

 そこに岡田平蔵という人間が現れ、鉱山の土地と採掘権を格安で買い取る。江藤はこの裏には魔王がいるとして追及する。魔王は見つからないと思われた。

 大蔵大臣の井上薫が、東北の鉱山を視察する。付き人の中に岡田もいた。魔王はみつからないと思っていたところ井上薫が鉱山敷地内に「井上薫所有地」と看板をたてる。

 江藤は井上を法律で罰しようとする。しかし副島種臣に諭される。
「井上は辞任する。まだ維新政府ができて10年。こんな時に大臣が大疑獄で捕まると、政府は転覆させられる」と。井上は罪を免れる。

 上巻では、江藤は西郷の「征韓論」が受け入れられず謀反を起こすという物語になっているが、遵法第一主義の江藤は、井上が罪を免れたことにより謀反に走ったように私には思えた。

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| 古本読書日記 | 07:03 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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