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深水黎一郎    「最期のトリック」(河出文庫)

 この世に推理小説ミステリーというジャンルが誕生して200年だそうである。その間、およそ考えつくトリックというのは出尽くしたと考えられている。

 この作品、スランプ中の作家である私に、今までにはないトリックを使ったアイデアを発見した。このトリックを2億円で買ってほしいという香坂誠一という人物から手紙と、彼の私小説が届く。

 そのトリックというのが「本を読んでいる読者が犯人になる」というトリックである。一特定の読者が犯人となるトリックは考えられるが、何ら関係のない不特定の読者全員が犯人になってしまうというトリックはあろうはずがない。

 物語は、私のところに分けて送られてくる、トリックの売買と私小説と、超心理学の第一人者の古瀬教授の超心理実験やテレビでの公開実験の場面がほぼ交互に描写され進む。

 人間以外の動物はコミュニケーションとしてのツールである言語を持たない。それで、テレパシーのようなESPの能力を使って、考えや意志を伝達している。人間もその能力を有しているが、言葉を持ったため、その能力を使うことがない。

 しかし、能力はあるのだからということで、そのコミュニケーションを実際に使う実験を古瀬教授は行う。このことが超心理学なのである。

 この実験を執拗に行い、それが真実ではないかと読者に思わせたところで、「読者が犯人」というトリックが登場する。

 しかし、その超心理学の能力も眉唾だし、事実、実験が成功したようにみえたものもインチキであることが暴露されている。
 作者の挑戦はわかるが、納得感のない物語になっている。

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| 古本読書日記 | 05:55 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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