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アンソロジー   「文豪たちが書いた 怖い名作短編集」(彩図社)

 11人の文豪が描く怪談、奇談、幽霊譚の名短編集。半分くらいは既読。
読んでいて、変な心持になったのが芥川龍之介の「妙な話」。

 主人公の私は友人の村上から、彼の妹について2つの妙な話があると打ち明けられる。妹の夫は、第一次大戦のなかヨーロッパに派遣されていた。妹は少しノイローゼになっていた。

 ある日妹は鎌倉の友達に会いに行くといって家をでたが、途中でずぶぬれになって帰ってきた。中央停車場で、赤帽に突然声をかけられた。「旦那はお替りないか」と。今はいないと伝えると、赤帽は「私がみてきましょう」と言う。変なことを言う赤帽だと妹は思う。ヨーロッパに見に行くなんてできるわけないじゃないか。そこで、具合が悪くなり家に引き返す。

 兄が帰ってくるという日、中央停車場に迎えにゆく。すると声がかかる。「お兄さんは右手にけがをしていて、手紙がかけませんでした。」振り向いてもだれもいない。

 少しするとまた声がする。「お兄さんは来月に戻ります」と。
 また振り向いても誰もいないと思ったら、さっき近くで荷物を運んでいた2人の赤帽のうち一人がいなくなっていた。
 同じ時、妹の夫がフランスのカフェにいると、フランスにはいるはずのない日本人の赤帽が現れ、少し経つとふっと消える。

 そこまで村上が話をしたとき、村上の友人が4-5人やってきたので、失礼といって私は席を外して帰る。私は村上の妹と逢う約束をしたが、2回とも妹がやって来なかったことを思い出す。

 妹が私に会いに行くとき、現れた赤帽。帽子に2本の赤線がはいっている。この赤帽は、憲兵を暗示しているように私は思った。憲兵の圧力が、妹をノイローゼに陥らせている。手紙も検閲により届かなくなっていたのかもしれない。

 なかなか意味深い最後。日本の世相が暗くなり、戦争の影がひたひたと迫ってくる。芥川がシニックに戦争批判を描いた作品のように思えた。

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| 古本読書日記 | 06:14 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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