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こだま    「夫のちんぽが入らない」(講談社文庫)

 購入してレジに持っていくのが恥ずかしいようなタイトル。しかし、読み終えるとこのタイトルしかありえないとしみじみ思ってしまう。

 主人公の私は、本当に何もない田舎から、都会の大学に入学する。そこで、オンボロアパートに入る。そのアパートにやってきた日に、ずうずうしくも同じアパートに住む、同じ大学の男の子が引っ越しの手伝いにやってきて、部屋に上がり込み自分の部屋に帰らない。

 それから、時々部屋にその子がやってきては泊まってゆく。そうすると、必然的に体の関係を持とうということになる。

 ところが、トンネルの掘削工事をしているように、岩盤を男の子が突き破ろうとするのだが、ドン、ドンと叩くだけで、全くちんぽが入らないのである。

 主人公の私は、高校生の村祭りのとき、同級生の子と好きではないのだが、体の関係を持ちそのときは入ったのである。
 アパートの男の子とその後、何回かトライするが、全くはいらない。
それなのに、2人は結婚する。

 夫は、高校の教師。私は小学校の先生となる。
 私は新人教師なのに、最初から学級崩壊のクラスの担任となる。何とかこのクラスの生徒が卒業するまで頑張ろうとしたが、5年生のときに体に異常をきたし、辞職をせざるを得なくなる。

 夫は、不良を抱える高校で、その対応に当たっていたのだが、パニック障害に陥る。何とか薬と通院で教師生活は維持している。

 そして相変わらず夫のちんぽは入らない。

 夫は出張や残業と称して、風俗にゆき処理する。私は出会い系サイトで男を探し、肉体関係をもつ。だから、2人のチャレンジは年一回正月だけ行うことになる。

 そして35歳を過ぎて正月網走の旅行でチャレンジしたのを最後に終了する。その時の私の感想が素晴らしい。

 私たちの性は網走監獄の鉄格子の奥に置いてきた。木目の剥げた床、申し訳程度に敷かれた藁。その寒々しい独房に、これまでの思いを放り込み、鍵をかけてきたのだ。

 率直にユーモアに包んで、世間の常識から外れた人生を告白する。じわっと心をゆする一生に一回しか書けない私小説。

 生涯一回しか書けない私小説を、書くことができず小説家をあきらめる人が殆ど。一回書くことができれば、次も書くことができる。こだまさんのこれからの活躍を予感させる作品だった。

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