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誉田哲也   「Qrosの女」(講談社文庫)

 ファストファッションメーカーのトップブランドQrosのCM撮りの現場。そのCMには何人かの旬の俳優が登場するが、そのメインはモデルあがりのスター福永瑛峲とイケメンで大スターの藤井涼介。

 このCM撮影でQrosのチーフエクゼクティブの桑島の眼に、撮影現場の世話をしている一人の女性がとまる。そして、桑島がその女性を急遽メインで起用することを指示する。CMの最後のクライマックスシーンは、Qrosの最新ファッションで身を包んだ女性を、藤井がハグをする。

 もちろん指名された世話係の女性は懸命に出演を断るが、桑島の決定はくつがえすことはできない。更に、完全に主演の座を奪われた、福永と藤井は面白くない。それを和らげる意味もあり、この女性は名前も明かさないし、タレントとしてデビューもさせないという取り決めを関係者でする。

 しかし、CMがオンエアされると、裏目にでる。あのハグされる美人は誰なんだと。ネットは炎上するし、週刊誌が真相をおって追及しだす。

 ネットでは最初は誰だから始まり、台湾人だとか、どこかのキャバクラに会ったとか、フェイクの情報が流れる。

 ところが、ある時、中目黒や豊洲で見かけたという情報が発信され、徐々にその情報が、その女性を貶める情報ばかりになる。そして、当然週刊誌も中目黒や豊洲中心に彼女を探し出す。

 この物語の面白いのは、ネットで「だきてえ」とか「お尻さわりてえ」とか品は無いが、中傷ではなく、欲望を表現しているツイートがなされる。一方で人格や行動を中傷しているツイートも多くなされる。しかし実際は中傷のツイートは多くの人からなされることは無いということだ。そんなに他人を貶めることに、一般の人は関心が無い。

 だから、この物語の貶め誹謗のツイートはたくさんの人を装っているが、たった一人でなされていた。しかも、その犯人は、(笑)を半角にする癖があることで発覚する。

 そういえば、少し前にネット上でのグルメサイトの評価が信頼できるものでは無い場合が多いというニュースが流れ問題になっていた。

 好評価も貶める評価も、意図した会社がサクラを雇って集中して投稿したり、ある個人が大量の評価情報を流す場合が多いのだ。

 運営サイトへの指導、注意が行政から求めるということだったが、こんなことは防ぎようがない。

 この物語は、ネットによりかかって生活するということは、フェイクの情報に囲まれて生活することだということだという認識を持って、利用者は対応せねばならないということを教えている。

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| 古本読書日記 | 05:54 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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