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佐藤多佳子   「一瞬の風になれ 第二部―ヨウイー」(講談社文庫)

 全く恥ずかしい話だが、佐藤多佳子の出世作「一瞬の風になれ」が3巻もある大長編とは知らなかった。今回、その2巻目を手にとってみた。

 2巻目は、3つの出来事が起きる。

主人公新二が友人でもあり目標にしている連が、4継といわれるリレーで足を痛め、1年ほど走れなくなる。落ち込み、投げやりになる連。

 それから、ジュビロ磐田に加入した兄健一が車の事故に遭い、重傷を負い入院する。
この2つの出来事に、新二と谷口の恋の物語が流れる。

 谷口は、連や新二のように目立ち才能があるランナーではない。指導教師に中長距離に変わりなさいと言われ、黙々と練習をする。
 新二は、谷口が同じクラスで、たまに話はするが、気になっているわけでもない。

その谷口と新二は兄のジュビロ磐田の試合を見に行くことになる。小田原から青春キップ、普通電車で磐田までゆく。

 電車の中で、会話ができない。それが、試合中も終わってからも続く。でも、新二が「健ちゃんどうだった?」と聞くと
 谷口は答える。
「神谷君(新二の苗字)が一番すごい。健ちゃんを目指してめげず、いつも前向きで頑張っている」と言う。新二は心が暖かくなる。

 新二は、健一が大けがをしたことにショックを受け、陸上部の練習に行かなくなる。陸上部全員が、じっと新二の復帰を心待ちにしている。ずっとブラブラしていると、谷口が家にやってくる。 丹沢湖駅伝に谷口が出場すると言う。

「部のためじゃなくて、神谷君のためじゃなくて、私のために、私のわがままで、ただ来てほしいと思って、それだけなんだ。」
 谷口、もう正式な大会に出場することなんか無い。これが最初で最後の公式大会の出場なんだ。そして、新二は自転車で谷口の走る姿を見にゆく。

最近の物語では、こんな純粋な恋の場面が登場しない。キスや体の関係を持つことが当たり前のような物語ばかりで、ちょっと違うんじゃないかと不満を持っていた。

 高校生の恋はこういう恋が普通じゃないの。
佐藤さんのピュアでぎこちない恋の描写に、遠く過ぎ去った青春をなつかしく思い出した。

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| 古本読書日記 | 06:10 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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