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大島真寿美    「ゼラニウムの庭」(ポプラ文庫)

 主人公のるみ子は、小説家を目指している。るみ子は祖母から一族の秘密を聞かされ。そのことを書き記すように師事される。それは、嘉栄という女性のことだった。嘉栄は世間から隠され育てられた。

 嘉栄は豊世と双子で生まれた。豊世は、るみ子のれっきとした祖母である。嘉栄は不思議な子で、成長、時の進み方が一般と比べ遅いのである。例えば、双子の片割れ豊世が30歳になり子供を抱え中年にさしかかろうとするとき、嘉栄は30年生きてきても、実際の成長は15歳程度で乙女真っ盛り。

 そんな嘉栄、家にいるときは、蔵で住まわせ隔離されている。嘉栄はそれを自分の運命として受け入れる。桂という医者が、西洋に行けばこの病気は治せるかもしれない。生涯隔離では可哀想ということで、嘉栄をイギリスに連れてゆく。

 戦争が激しくなり、イギリスにいられなくなる。しかし日本に帰るとまた隔離生活になる。それを避けるため満州に行くが、戦争末期やむを得ず日本に帰国。元の蔵生活となる。
そんな中、人間は生まれ、多少の波乱と喜びをくりかえしながら、死んでゆく。

 この物語で、大島さんは嘉栄に言わせる。

 世界は命がつながり、時がつながる。
 いや違う。命も時もつながらない。つながるように見えているだけだ。命は命。時は時。
 ひとつの命がそこにあり、時は時で、それとは関係なくいつもそこにあるはずだ。それで 
 いいじゃないか、と私は思う。私は流れていくだけだ。私はそれを引き受けて、ただ、
 流れて行くだけだ。

今、嘉栄は140歳を超えた。明治から令和まで生き抜いている。嘉栄の後に生まれた係累の人たちも殆ど死んでいる。こんな人たちの人生を見てゆくと。上記のような思いになるのかも知れないが。見られている私たちには、何となくこの思いは受入れがたい。

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| 古本読書日記 | 06:17 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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