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中山七里   「秋山善吉工務店」(光文社文庫)

 秋山史親一家の家が全焼する。二階に寝ていた史親は逃げ遅れて焼死する。住むところを失った、母景子と息子の2人兄弟雅彦と太一は、史親の父秋山善吉の家に同居することになる。

 この善吉。昔気質の大工の棟梁。若いころはヤクザと立ち回りをして、ヤクザを打ち負かしたことがあるという猛者。

 次々起こるトラブルに先頭になり立ちはだかり、派手な活躍をするのだろうと読み始めたが、どうも勝手が違った。

 前半は、太一が転校した学校で、いじめっ子グループにはいることを拒否したため、いじめっ子グループにいじめられる。

 雅彦は半グレ仲間に引き入れられ、違法ハーブの販売に手をそめ、それをやめようとするとヤクザがでてきて脅し、販売集団から抜けられなくなる。

 景子はファストファッション店にバイトで採用されるが、そこで悪質なクレーマーに遭遇して、そのクレーマーの要求に応えられなくなり、追い詰められる。

 この、3つのトラブルの描写が中心で、殆ど善吉が登場する場面が無い。もちろん最後には登場してトラブルを収めるが、派手な立ち回りは殆どなく、片言隻句ばかり。

 善吉をはじめ、登場人物がありきたりで平板。これは中山らしくないと読み進む。

  後半、宮藤刑事が登場して、火災の原因を突き止めようとするところから、急に物語に緊張感がでてくる。

 亡くなった忠親は、ゲームソフト会社をクビになり、自らがソフト会社を興そうとする。しかし資金不足のために、退職金や預金を株に投資するが失敗して全く金が無くなる。妻恵子はほとほとこんな忠親に愛想をつかす。一方善吉は、忠親のダメ息子ぶりにこれまた愛想をつかし、忠親を嫌う様になる。

 宮藤刑事は最初放火犯人として景子を疑いおいつめる。そして次に善吉を疑う。どれも決め手を欠く。それで、2人の合作ではと疑う。この経過での、宮藤と景子、善吉のやりとりは緊張感が漂う。

 しかし放火の証拠があがらず、失火として最終処理される。
それから8年後、ある人の証言により、火事の原因がわかる。そして、そのことは景子も善吉もそして宮藤も知っていたことが明らかにされる。

  善吉一家、景子家族にとっても、そんなことを暴かず、失火として処理すべきだということを宮藤も知っていた。

 秋山善吉の江戸っ子頑固おやじの活躍を期待していたのだが、タイトルと中身が異なり戸惑ってしまった。

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| 古本読書日記 | 06:21 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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