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大島真寿美    「虹色天気雨」(小学館文庫)

 芥川賞受賞作家今村夏子さんの文庫作品を読み、型破りの発想に感動。それで、直木賞受賞作家大島真寿美さんの作品をブックオフから購入して、しばらく大島作品を堪能しようとしている。

 紹介している作品はNHK連続ドラマにも登場して大島作品の中ではベストセラーとなった作品。

 男にはあまりないが、女性には少女時代からの友達がずっと切れずに続くことがしばしばある。この作品に登場する、市子、まり、奈津、アラフォーなのに中学で友達になり今でも強い友達関係が続いている。

 なんでもあけすけなく言い合い、支えあい、しなやかに明るくそして強くアラフォー時代を生き抜いている。

 市子には耕太郎という恋人がいたがしばらく前に別れている。奈津には憲吾という夫と美月という娘がいる。まりには旭という恋人がいる。

 奈津の夫憲吾が書置きをして母子を残して失踪する。アラフォーの女性はすごい。懸命に奈津は憲吾を探し回る。それと並行して、美月を養わねばならないと、仕事を探す。泣いたり、悩んでいる暇などない。多分帰ってはくるだろうが、そんなことはあてにせず、次の手を打たねばならない。こういうきっぱりとした行動は奈津でなければとれない。

 奈津が電話で夫の失踪を市子に伝える。電話の向こう側の奈津の表情を市子が想像する。そこの描写が秀逸。

 「電話の向こうで奈津がどんな顔をしているのか、うっすら見える気がした。奈津がこういう決心をしたときに見せる、少し顎を突き出して、頬を少し膨らませ、口元をすぼめた、強気の表情。それからいつも一度ぎゅっと眼を閉じ、そのあとパチリと眼を開く。大きな瞳が強く輝きだす。何もかもが満たされたかのように華やかに笑う。」

 まぶたに生き生きとアラフォー女性の表情が浮かぶ。

 憲吾が見つかる。そして唐突に憲吾は長野県で林業をするととんでもないことを言い出す。それを聞いてのまりの反応も実に素晴らしい。

 「だいたい何で失踪中にのんきに魚なんて釣っていられるのよ。奈津や美月のことこれっぽちも考えなかったのかね?考えてたら、魚なんて釣ってられないよね?まったくどういう神経してんだか?それで何?さんざん魚釣って帰ってきて、今度は樵になるってか?本当に大きな神経が2,3本いかれちゃったんじゃないの。」

 表現が半端じゃなく楽しい。笑いと感動が抑えられない。とんでもない作家だ、大島さんは。

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| 古本読書日記 | 06:47 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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