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佐々木譲    「真昼の雷管」(ハルキ文庫)

 まだ、私が若いころ、所属していた部に年配の人が副部長として異動してきた。仕事を何もしない人だった。以前ドイツの現法にいたことがあり、それを背景にして、偉ぶり社員から無視され嫌われていた。

 プライドがあるがために、職場に馴染めず、会社を退職した。

 ある時、他の会社から、副部長についての問い合わせがあった。その電話をとった管理部長が、「あれはだめだね。仕事は全然しないし、偉ぶるし、使いものにはならないよ。」と副部長をけちょんけちょんにけなした。

 電話が終わった後に、私のところにやってきて、「あいつの紹介があって、ひどいやつだったと話してやった」と得意気に話した。
 「別にもう関係ないんだから、そんなにひどいこと言わなくてもいいじゃない。」と答えたが、「本当のこと言ってあげねばいけないよ。あんな男を採用したら、その会社も被害を被るんだから」と叱られた。

 JR北海道で何年か前に貨物列車脱線事故があった。その後の調査で、JR北海道では、車両や軌道の保守点検がでたらめだったことが明らかになった。更にそれを糊塗するために点検保守の記録を改竄していたことが明らかになり、社会的大問題になった。

 最初は、点検現場の数人を処分しただけで済まそうとしたが、それでは抗せなくなり、幹部数人を処分せざるを得なくなった。

 その対象になったのが、この物語に登場する梶本裕一。

その昔、JRが国鉄だったとき、国鉄には3つの労組があり、JRになってもJR北海道はその労組を引き継いでいた。国労、動労、鉄労だ。

 国労は一般左翼労組、鉄労は会社よりの労組、動労は過激派革マルが主体の危険労組だった。

 梶本は、JRを辞めさせられ、それだけでも次の仕事を探すのに、苦労していたが、それに加え動労に所属していたということで、再就職は絶望的になってしまった。応募先からJRに問い合わせがあり、JRは梶本動労所属を明らかにするからだ。

 絶望は強烈な恨みに変わり、犯行に至るところが痛々しく思えた作品だった。

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| 古本読書日記 | 06:35 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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