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近藤史恵    「ガーデン」(創元推理文庫)

 今井探偵と助手山本シリーズの2作目。私は別の彼らのシリーズを読んでいないから、今井探偵がどんな見事な活躍をするのかとその推理のすばらしさに期待していたのだが、この作品実に奇妙な色合いの作品で、かなり戸惑った。

 まず、今井探偵事務所なのだが、電話帳にも電話番号がのっておらず、しかも事務所の看板もなく、単に「今井」とプレートがあるだけ。

 さらに、藤波という金持ちの住む大きな屋敷で殺人事件が起きるのだが、今井探偵が死体遺棄に協力していること。

 そして、何といっても、こんな物語には遭遇したことがないのだが、客観的に捜査、推理をして真相を暴くのではなく今井探偵自身が事件の当事者としてどっぷり物語に入りこんでいる。 

真波と火夜という殺人事件の核心を担う2人の親友同士が登場し、真波が最終的に犯人となるのだが、その動機の根本に、火夜が今井探偵に強い恋心を抱いていたこと、更に同じように真波も恋心を今井探偵に抱いていたことがあった。

 物語は、火夜と同居していた真波が、火夜が部屋をでて帰らないから探してほしいと今井探偵事務所にやってくるところからスタートする。その時、どこからか送りつけられた小箱を真波が抱えていた。その中身は切り取られた小指だった。

 この小指、実は火夜が切断したものだった。火夜の祖母は芸者をしていて、一番愛する人への証拠として、当時小指を切りおとし届ける風習があり、それに沿った行為だったと物語では説明される。

 また助手の山本は、精神病院を脱走している患者。山本は名探偵の助手になっていれば精神が安定する。山本が今井に会ったとき、今井は探偵だと宣言。それで、山本は助手となり今井は意にそわないが探偵をしていることが明かされる。

 事件が起き、それを誰かが追及して真相を暴くというストーリーでなく、登場人物のすべてが事件関係者になっているという物語。新しいタイプにチャレンジする姿勢は評価できるが、ドロドロしすぎてわけがわからなくなる締まりのない物語になってしまった。
 
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| 古本読書日記 | 06:05 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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