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安東能明   「死紋調査」(角川文庫)

 児童画診断の創始者であり権威者でもある、岩手県の中学校の美術教員だった浅利篤という人がいる。
 児童画は「形」「色」「構図」の三つの組み合わせで、すべてがわかるという。

 子どもの絵に登場する山や太陽は父親を表す。電車や馬といったものは母親を具現する。色も重要だ。白は警戒心、黒は恐怖心、紫は病気を表現している。そして、それらが絵のどの位置に描かれているかで児童の状態をみるのが構図である。

 これにより、児童画の診断方法を発見、構築したのが浅利篤である。
昭和30年代彼が著した「児童画の秘密」はベストセラーとなり、児童画を題材にした「黄色いカラス」という映画も作られ大ヒットした。
 全国的に浅利式診断法が広まり、教育の場では常識となった。

 しかし、権威の塊である精神医学学会としては、在野の一先生が発見したという診断法を認めることは面白くなく、徹底非難無視を決め込み、現在は隅に追いやられた状態にある。

 この物語は、浅利式診断法により、子供によって描かれた絵のうち、描いた当人や、家族の誰かが、近々事故や事件で殺害されるか、突発死することが予知される作品が抽出され、その診断通りに、死人が次々発生する。

 そして主人公の息子雄大が描いた絵も、不幸の予知絵となっている。果たして、主人公家族の身に大きな被害は及ぶのか、それとも予知絵により、発生した事故事件は誰かが故意に起こしたものかが追及されてゆくサスペンスとなっている。

 犯人は浅利式診断法の知識は殆ど無く、その絵を利用して事件を起こしたのかはっきりしない。逆に言えば、個々の子供が描いた予知絵が危険が発生することを示唆しているのだから事件は起こって当然という。殺害意志と予知が重なりあって、すっきりしない印象だけが残る。

 構想や着眼点は興味をそそるが、その構想が十分に生かし切れていない。

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| 古本読書日記 | 06:07 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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