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矢崎存美   「食堂つばめ5 食べ放題の街」(ハルキ文庫)

 臨死体験をする場所にある食堂つばめシリーズ5作目。今までは単純なストーリーばかりで、あっさりしていて読み応えがあまりなかったが、この5作目は少し物語が複雑で凝っている。

 主人公の沙耶は、小さいころから虐げられ、妹の面倒を含め、家族の世話を使用人のようにせねばならなかった。更に、中学生になると祖母が動けなくなりその介護までさせられた。

 成績は優秀なのだが、家から通える三流高校にしか行かせてもらえなかった。学校ではいつも孤独でぽっち生活。友達は唯一幼稚園で同じ組だった美苗だけ。

 祖母はそんな沙耶を不憫に思い、何かにつけお金を与えてあげていた。沙耶はそれを全く使わず、台所の秘密の場所に貯めていた。

 10年ぶりに友達の美苗に会う。沙耶は今の辛さを美苗に言う。すると美苗は家をでなさいと言い、実家から遠く離れた町のアパートを紹介し、沙耶はそこで一人暮らしを始めた。そのアパートの場所を美苗の手帳を盗み見たことで妹の舞が知り、アパートにやってきて家に戻るよう説得に来る。

 原因はわからないが、そこで沙耶は死に、食堂つばめの街を彷徨うようになった。
沙耶は生き返ってもずっと一人だし、生きる希望もない。それで、生きていても、死んでも同じという気持ちで臨死体験の街に居続けている。

 ここにもうひとり隆一という男性がやってくる。彼は、大学をでて一流企業に就職していたが、母が倒れ、介護を決意して会社をやめ田舎に帰る。母は息子を犠牲にすることを嫌がったが、さりとて対応策もなく、隆一の介護を受ける生活をする。

 転職をした会社をリストラされ隆一は追い詰められる。そんな時2階から降りようとして足を踏み外し亡くなり、臨死体験場所にやってくる。

 隆一も生きていてもなんの意味もない状態。だけど母が心配。死にたいけど、生き返らねばならない状態。

 死の影に持っていかれれば、もう生き返ることができず、完全に死んでしまう。その危ない体験をする隆一を沙耶が救い、完全に死なずに踏みとどまっている。

 隆一は身の上話を沙耶にする。生き返っても何の生きがいもない。母親の世話だけをしてまた死ぬだけ。ずっと独りぼっち。
 沙耶が言う。自分は祖母の介護の経験があるから、隆一の母の介護は自分がしてあげる。だから隆一はひとりぼっちじゃなくなるよ、と。

 沙耶のだしたお茶を飲むと隆一がスーっと消える。生き返ったのだ。
沙耶も少しおいて生き返る。隆一の家を訪ねると、隆一の母は自ら進んで施設にはいっていた。沙耶が隆一の母をみる必要は無くなっていた。

 でも2人は大切な友達同士になろうねと固い約束をする。

 この作品は、ようやくこのシリーズでまともに読めた。

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| 古本読書日記 | 05:57 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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