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矢崎存美   「食堂つばめ4 冷めない味噌汁」(ハルキ文庫)

 矢崎の有名な「ぶたぶた」シリーズにつぐ、「食堂つばめシリーズ」。

人が死ぬと全員ではないが、生と死の間にある場所へやってくる。そこにあるのが「食堂つばめ」。ノエという美女がやっている。メニューはなく、客が食べたいものを言うと調理し提供してくれる。客は死んでやってきている。ノエは客を生き返るよう説得する。もちろん客は死ぬことも選択できるが、ここで何かを食べる客は生き返りたいと思っているので、ノエは説得して死んだ場所で、客を生き返らせる。

 一見ノエのしていることは正しいことのように思うが、現実は死んだ当人の状況により、生き返ることが幸なことかどうかはわからない。まして2度死ぬということは、死ぬとき味わった苦しさを、再度味わうということで、誰もがそれを望むかは、疑問である。

 このシリーズ。生き返らせるまでは描写するが、生き返った人がどうなったかは書いてある作品は殆どない。そこからが本当の物語になるのだが・・・。そこがかなり不満をたまらせる。

 めずらしくこの短編集のタイトルにもなっている「冷めない味噌汁」は生き返った後を描いている。

 俊太郎はブラック企業に勤めている。今は苦労しているが、明日には楽になるはずと思い、重労働を強いられながら頑張って働いている。そして4日間会社に詰め徹夜で仕事をして、眠ったまま死んで、ノエの食堂にゆく。

 そこで、食べたいものを食べ、泊り、翌日朝食を食べる。そこで提供されたノエの味噌汁の味に感動。生き返ることを決意した途端、気が付くとベッドで意識が回復していた。

 すぐに携帯で起こされ、上司に「何をさぼっているのだ。早く会社にでてこい」と怒鳴られる。

 しかし会社には行かず、病院にゆき、体全部の機能が異常であることが告げられ入院をすることになる。上司から「それでも会社に来い。」と責められるが、見舞いに来た弟にも会社には行くなと言われ断る。すると即解雇通知がくる。弟が懸命に頑張り、退職金は手にすることができる。

 そして父親の関係する造園会社に就職。祖母と父親と3人で暮らすようになる。
母親は小さい時に亡くなり殆ど記憶にない。そこから叔父の家で育てられ、大学を出、ブラック企業に就職。

 父親も妻を早くに亡くし、一人であちこち転勤して暮らす。
そんな父親が今は、母親代わりで食事を作ってくれる。

 父親の作る味噌汁。臨死体験したとき食堂つばめのノエが作ってくれた味噌汁と同じ味がする。

 すこし都合がよすぎる物語である。

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| 古本読書日記 | 05:56 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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