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アンソロジー   「あなたの不幸は蜜の味」(PHP文芸文庫)

 ミステリー人気女性作家6人による結末が衝撃的なイヤミス短編集。殆どの作品がすでに文庫短編集として出版されていて、既読作品ばかりだった。

 その中で上手いなあと思ったのが一作目の辻村深月の「石蕗南地区の放火」。

主人公の笙子は36歳で独身。現在は財団法人町村公共相互共済地方支部に勤めている。支部は主に公有物件の保険事業。資格は地方公務員である。

 今年の初め、職場の男性から合コンの誘いを受ける。気が進まなかったがその後の円滑な仕事のために参加を了解。その合コンにいやがる友人朋絵を強引に誘う。

 その合コンに来ていたのが消防士の大林。粘着質で強引に笙子に近付く。携帯番号の交換を迫られたが何とか振り切り赤外線通信のメールアドレスを教える。

 本当にひどい合コンだったと、帰り一緒になった朋絵も嘆息していた。

 それから、毎日のように受信するしつこい大林のメール。おざなりのメールを3回に1回の割合で返信していたが、ついにそのしつこさに負け横浜へのデートを約束する。

 横浜へのデートでは、大林の暑苦しい態度と傲慢さに辟易として、途中で祖母が倒れたと嘘をついて帰ってきた。

 そのしつこさと横浜デートのひどさを友達の朋絵に愚痴る。と、驚いたことにひどい合コンだったはずなのに、何とそこで朋絵は彼氏をみつけ恋人同士の付き合いをしていると告白。それが、笙子の心をチクリと刺す。

 朋絵がどんな言い方をしたか知らないが、大林と笙子が横浜までデートしたことを母親までが知っていた。小さな街。かなりの人たちまで噂は広がっているだろう。朋絵にしゃべってしまったことを笙子は後悔する。

 そんなある夜、笙子の実家の向かいにある消防署が火事で焼ける。放火だった。その犯人が見つからないうちに今度は公民館が放火で焼ける。

 そして大林が犯人としてつかまる。しかし動機がわからなかった。

笙子は、自分とのことが思い通りにならなくてむしゃくしゃしてやったと大林が自白するのではと追い詰められ、いずれ警察や記者が自分のところにやってくるのではと戦々恐々としていた。しかし警察が来ないうちに動機が新聞に載った。

 「火事を起こしヒーローになりたかった」と。
笙子は、むかっ腹がたってその新聞を壁に向かって投げつけた。何で私のことが放火の原因にならないんだと・・・。

 この突然の豹変が見事。笙子の意地が切ないが怖い。

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| 古本読書日記 | 06:17 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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