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矢崎存美  「ぶたぶたの食卓」(光文社文庫)

 おなじみぶたぶたさんシリーズの2作目。ぬいぐるみだけど、生きて生活しているぶたぶたさん。

 美澄は家で技術翻訳をしている。それで、だんだん話しができる人が少なくなり、最近は唯一の話相手である夫とも会話がなくなってきている。孤独感ばかりが人生を覆い、もう誰とも会話ができなくなってしまったと思い込む。そして、夜眠れなくなり、たまに眠っても起きると心臓がうなり、たくさんの汗をかいている状態に陥る。

 それで、近くの心療内科に這うようにしてでかける。診断はうつ病。抗うつ剤と睡眠薬を処方される。

 病院からの帰り道、佐々木さんという同じ患者に誘われ喫茶店ヴァンにゆく。そこでおいしいクレープを食べる。その美味しいクレープを造っているのがぬいぐるみのぶたぶたさん。

 ヴァンに癒され、早く元にもどろうとゆっくり静養したのが良かったのか、気分も回復、元に戻ったと思い、また仕事を始める。しかし、その直後また、以前のうつ状態に陥る。

 そして、病院に行く前にまたヴァンに寄る。もう元の自分には戻れないと泣きながらぶたぶたさんに言う。
「元へ戻ることはできないんです。元に戻ったと思っていても、わずかかもしれないが、人間は変わっているのです。自分は変わっているんだと認識することが大切です。」と。

 なるほど、そうなのかと思った。

このぶたぶたシリーズで、全く何年たっても変わらないのがぬいぐるみのぶたぶたさん。

 多くの人たちが、ぬいぐるみを集めている。そして、どのぬいぐるみもチャーミングで可愛らしいと感じる。
 人々は変わってゆく。だから、いつまでたっても変わらないものに愛しさを感じ、心安らぐ「癒し」を感じるのだ。

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| 古本読書日記 | 06:02 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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