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朝倉かすみ    「満潮」(光文社文庫)

 大学生の茶谷は、結婚式場でバイトをしていた時、そこで結婚式を挙げたカップルの新婦真壁眉子に恋心を抱く。そして、眉子に近付こうとして、夫の真壁直人が経営している健康サプリメントの会社のバイト募集に応募し、採用される。

 一方眉子はネットのブログが趣味。茶谷は、ネットで眉子のブログ「グリーンハウス」を探し出し、眉子の姿が白猫を連想するということで、白猫というハンドルネームで眉子のブログにアクセスし会話を始める。

 一方夫の真壁直人は、茶谷が早稲田の学生であることを知り、いつか自分の右腕にしようと。社長専用運転手にする。

 直人は自宅でのパーティが大好きで、金曜夜、土曜昼は毎週のようにパーティを開く。そして直人は茶谷をパーティに招待する。そこで、眉子と茶谷は結婚式以来の再会をする。しかし、白猫が茶谷であることを眉子は知らない。眉子は白猫である茶谷に段々ネット上で気を許し、新婚夫婦の状況や悩みを吐露するようになる。

 しかも、パーティの後、アパートに帰るのは大変だろうと直人がいい、茶谷が専用に泊まれる部屋を確保する。
 これはいかにもありそうだが、なかなか考え付かない設定。面白いと思い読み進む。

ところがここからが、どうして?わからない事態がさしはさまれる。

 まずは、あり得ること。直人がアルバイトの若い女性と浮気をしだす。泊りで家に帰ってこないこともしばしば。名古屋支店を立て直すということで、長期間直人が名古屋にゆき帰宅しない。しかし、しばしば東京にはやってきていて、アルバイト女性と関係を持続する。

 当然そのうち茶谷と眉子が関係を結ぶ。
しかし、眉子は直人の人生が幸になるように尽くすのが自分の人生と決意して、茶谷には心は開かない。

 そんな眉子が出会い系サイトで男性を物色し、無差別に関係を持つ。さらに若者が主催するパーティにも頻繁にでかけ、そこで酒に酔って、着ている服を脱ぎ棄て、3人に強姦される。しかも、それが撮影され、DVDとなり市販される。

 こんな修羅場を経験し、とてもまともな夫婦関係は続けられないだろうと思うが、直人、眉子は、互いの不義を告白し、あっさりと許しあい元のさやにもどる。

 絶望を感じた茶谷が最後にとんでもない行動をおこすが、それにしても、とんでもない落差のある行動が、何の背景もなく、突然結果として描かれ、さらにあっさりの修復。

 眉子の性風俗に溺れる姿が、唐突すぎて、ついていけなくなる。普通に、眉子、直人、茶谷の関係を追及すべきだったように思う。
 朝倉さんのどこかに、性風俗を書いてみたいという思いが強くあり、そのことが物語の自然さを失わせてしまった。

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