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宮木あや子     「官能と少女」(ハヤカワ文庫)

 6編の短編集。

 1990年とかなり昔になるが、新潟三条市で9歳の女の子が拉致される。少女はそれから9年を経て、監禁されていた部屋から救出される。この事件は、最高裁まで争われ14年の刑が確定した。

 9年間も監禁されていることが、全く発見されなかったことと、少女に可哀想すぎるとの同情があつまり、監禁者に対し怒りが盛り上がったことが記憶されている。また犯人がひきこもりだったことがわかり。ここからひきこもりという言葉が定着して、問題化されることとなった。

 この本に収められている「雪の水面」は、新潟少女監禁事件を意識して書かれている。

 監禁事件の少女となったあやは、殆ど家をかえりみない父親を、母親と同じように、嫌悪していた。父親が全く家に帰らなくなったある雪降る日、母に連れられあやは浜辺に行く。そこで驚いたことに母親が突然空気に吸い込まれるようにして消えてしまう。

 あやは叔父さんという人に引き取られる。そのときあやから靖恵という名前に変えさせられる。

 部屋からは一歩もでることは許されない。だから、学校にも行かなくなる。勉強はおじさんが教えてくれる。

 それと同時に、夜になると、おじさんの指示により裸にされ、体を触りまくられる。これがどういうことかわからず、気持ちがいいから、あやはおじさんと一緒にいることがうれしくなる。宮木さんの小説だから、このあたりのあやとおじさんの体のやりとりはねっとりと描かれるが、ここでは省く。

 おじさんは不思議なことに5月になると1週間から10日ほど家を留守にする。この留守の間家は鍵がかかれ、絶対外出は禁止。呼び鈴が押されても、扉はあけてはいけないと厳命される。

 ある日玄関のドアが激しくたたかれ、身を屈めていると、不思議なことだが鍵によってドアが開けられる。青年がはいってくる。あわてて逃げると青年に追いかけられ、部屋に連れ込まれる。叔父さんとおなじことをされる。

 それは楽しいことだから、青年に悪意はおこらず、むしろもっと激しくと青年にねだる。

 このことで、監禁が発覚。あやも保護される。

 失踪していた父親があらわれ、あやを引き取ろうとするが、父親がしらないおじさんのところに返してとあやは叫ぶ。
 しかし、あやにはおじさんになる人はいない。

 新潟少女監禁事件と異なり、あやは完全に監禁者を信頼している。

 監禁者はもちろん大悪人なのだが、監禁者と監禁被害者の関係は一様ではないことを宮木は表現しているが、読後感はよくない。

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| 古本読書日記 | 06:25 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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