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井上ユリ選 井上ひさし  「井上ひさし ベスト・エッセイ」(ちくま文庫)

 中学生になって石原慎太郎の芥川賞受賞作「太陽の季節」を読んだ。度肝を抜かれた。

「『英子さん』
 部屋の英子がこちらをむいた気配に、彼は勃起した陰茎を外から障子に突き立てた。障子は乾いた音をたてて破れ、それを見た英子は読んでいた本を力一杯障子にぶつけたのだ。本は見事、的に当たって畳に落ちた。」

 いったいこれは何を言っているんだ。この部分が物議を呼び、PTAや婦人団体が不良図書として不買運動をしたり、映画化されたのだが、集団が映画館の入り口に陣取り、映画館に入らないようピケを張った。

 昼はヨットで遊び、夜は自家用車を乗り回して令嬢を助手席にのせクラブをまわり遊びまくる。

 5人で集まるが、今日は8000円しかない。女給さん相手では足りないので、素人女性と遊ぼう。

 一人1600円。井上ひさし、この時代、週2回の家庭教師をして一か月で稼ぐお金が1600円。8000円しか無いとは。
 「まず顔をよくみて、面がハクけりゃつきあうことにしよう。」

井上ひさしはため息をつく。
 顔などありさえすればいい。とにかく女友達が欲しいと。

 世の中ではこの小説の反倫理性が問題、議論となったが、私は全く井上ひさしと同じ状態。

まわりをみれば貧乏人ばかりだった戦争の爪痕が残っている時代に、こんな人間が存在しているのか。そんなことはあるはずがない。

 最大のSF作品だと、当時心底思った。

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| 古本読書日記 | 05:55 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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