FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

真保裕一    「ブルー・ゴールド」(朝日文庫)

 地球は水でできている惑星をいわれているが、殆どが海水。淡水は全体の2.5%。その多くは南極、北極の氷によって占められ、全世界の水に対しての淡水の占める割合は1%とわずか。その多くが日本に集中している。

 淡水は飲み水としても重要だが、半導体製造などの洗浄に用いられる工業用水としても重要である。たった1%だから、その確保や供給をめぐって大きな利権が生まれる。

 利権というのは、ミネラルウォーターとして採集できる権利の獲得、工場誘致をして工場用水を確保することで発生する利権。構造は、商社があり、それに水を有する市町村役場、県、それに国の認可役人役所、その裏に政治家がつるむ。

 特に商社は、利権獲得に複数の商社が争う。相手の商社を蹴落とすための策謀が、自治体、政治家も共謀して実行される。

 この物語では、信州の南駒野町の水をめぐって、二大商社、五国商事と葵物産の子会社ゴールド・コンサルタントが激しく争う。
 その過程は、すさまじく、興奮がとまることは無い。

以前O157がかいわれに含まれているという誤報によりカイワレ業者が窮地にたたされたことがある。

 この作品でも極秘の水質データがテレビにより発表される。これが、単にテレビ局だけの関心で行われて問題が大きくなるようなことは殆どなく、ライバル商社が相手を叩き潰すために、テレビ局や大手広告代理店とくみ実行されるのが一般的。物語では、とんでもない大被害が関係ないと思われる業種に飛び火し、業者の倒産が相次ぎ、その恨みが物語のキーとなる。

 更に商社では、業務の秘密を別の派閥に流したり、相手商社に流すスパイもいる。
商社で、最も許されないことは、裏切りだとこの作品では断言される。

 この3つの要素が重層的にかかわりあい、面白く、熱い作品となっている。

最近問題となっている、自治体の水道事業を民営化するという話。

水道の民営化はフランスが進んでいて19世紀にほぼ100%が民営化されたそうだ。しかし最近は問題があり、自治体運営に戻っている自治体もある。

 日本の自治体への民営化の売り込みは殆どこのフランスの民間会社。しかし、民間会社と自治体との契約では、民間会社に損はさせず、損があれば自治体が負担するという契約になる。結局すべてのツケは住民にまわされるということだ。

 こんなことも、物語では説明されている。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ



| 古本読書日記 | 06:10 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT