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伏見憲明 田口弘樹   「ゲイ・スタイル」(河出文庫)

 最近はLGBTという言葉が、雑誌や新聞に当たり前のように多く登場している。レスビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの差別になるかもしれないが性的マイノリティの人たちを指す言葉である。

 以前はとても、自分がLGBTであることを公表することはできず、ひっそりと片隅で生活するような状態だったが、最近は差別はいけないという世界的風潮のたかまりで、LGBTであることをカミングアウトする人たちが増加している。

 芸能人、有名人ではロバート キャンベル、壇蜜、マツコ デラックス、カズ レーサーなどがカミングアウトしている。
 2015年の電通調査によると、LGBTの人は日本では全人口の7.6%存在するそうだ。

 この作品の著者伏見憲明は、1991年にゲイであることをカミングアウトして、作家、評論、講演を行い、ゲイ ムーブメントの先駆者として活躍している。

 それにしても、普通の肉体関係より、ゲイの関係は濃密だ。彼らの関係のほうが、繊細で芸術性が高いようにこの本を読むと思えてくる。

  オーラル・コミュニケーション
 君はおもむろに僕を口に含んだ
 とたんに僕は粘膜の境界を失った
 うごめく体温に呑まれて、立ち上がる快楽が脳の中枢を麻痺させる
 君が僕を弄んでいるのか、僕が君を侵犯しているのか。

 僕は硬度をたしかめるように君自身を頬にあてる
 不器用に力を持て余すそれは、空に首をもたげる
 鼻でくせのある匂いを確かめると、喉の奥でしぼるように味わう
 弱弱しく喘ぐ君が本物なのか、ふてぶてしく膨張する君が本物なのか。
 
 先走る君の素直がいとおしい
 僕の表情を無視するように、僕を試しからかう君。
 分散した僕らの感覚が、快楽の血流に巻き込まれ、押し流される
 時があきれて、二人を放置してゆく。
 空白。
 昇り詰める熱に、我に返る。
 僕の濡れた欲求に漂う君が、子供のように力尽きると、
 君の獰猛な渇きが、僕の緊張を吸い取った。

驚愕のリアイティが追及された詩だ。怒られるとは思うが、果てしなく深い欲望にどうしても顔をそむけてしまう。

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| 古本読書日記 | 05:55 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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