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朝井リョウ    「何様」(新潮文庫)

 会社で人事研修がある。大概は、講師は外部のコンサルタントが担当する。

 この講師が、判で押したように明るく、メリハリをつけたしゃべり方、しかも中身がどれも一緒。この物語にある通り。

 クオリティの高い仕事をするために
 ・PDCAサイクルで仕事をすすめ、定期的にチェックする
 ・業務の優先順位を明確にする(自分しかできない仕事、他人でもできる仕事等)
 ・複数の仕事が重なった場合「緊急度」と「重要度」で考える
  (演習)
   ・自分の仕事を洗い出し「緊急度」と「重要度」で整理してみよう
 ・仕事を取り組む姿勢をふりかえってみよう
  ・トラブルを成長できる「チャンス」と捉えるか、できなかったときの「言い訳」に
   するか。
  ・仕事により得られるもの、失うものを常に思考する

 このようなことを型にはまったスタイルですすめていく。生きた人間が喋っているのではなく、置き人形が喋っているように感じる。

 講師の生の姿、経験は全く語られない。講義時間がはずれた昼食時間でも、しゃべり人形は変わらない。

 研修を担当している桑原正美。突然、予定研修をキャンセルされる。その理由
「なんか、まじめな生徒会長にひたすら『校則は守りましょう』って言われているみたい。学生の頃、ああいう先生にいろいろ言われるのがいやだなあってみんな笑っていたよ。やっぱしうちの社員には国立大学出のエリートには合わんよ。」

 新卒の採用試験。志望者も訓練されて面接にやってくる。その時、しゃべる言葉に決まった言葉が強調される。
 リーダーシップ、協調性、独創性、集中力、体力。

 こんな言葉のやりとりを面接官と果てしなくやりあう。もう、面接などやめて書類先着順で合格者を決めることと、何回も面接して決めることにどんな差が生まれるのだろうと思ってしまう。

 この作品では、その面接で一秒間でも、これはと思われる言葉が発せられたら採用する。
それが採用基準だと語られる。

 採用、研修の実情をきっちり捉えられていて、面白い仕上がりになっている。

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| 古本読書日記 | 05:43 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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