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宮木あや子    「太陽の庭」(集英社文庫)

 キリスト教やイスラム教における神は少なくても実在の確認はとれない。信者の心の中に偶像となって存在している。宗教というのはそういうものなのだが、日本だけは異なった。戦前までは神が実在していたのである。その神こそが天皇であった。

 その天皇が戦後、神ではなく人間宣言をした。
しかし、天皇は神の力に頼り縋って生きてきた。特に一般と異なり、政財界を中心とした人々には、突然神が消滅することは受け入れられなかった。

 そこで生きている神を創った。それが永代院由継である。地図には載らない広大な土地に、大きな屋敷を持ち、生き神由継を中心に複数の妻、愛人たちを周りに控えさせ、数十人にも上る子供たちとともに。暮らす。年2回、政財界の人たちによる園遊会とパーティーがその屋敷で開かれる。

 生まれた子が女性ならば、永代院が運営する大学までゆき、その後、敷地から追い出され一般人として戸籍を取得して下界で暮らす。しかし、彼女たちは政財界の息子たちと婚姻を結ぶ。男の子も現在の神が後継者を指名、それ以外の子はやはり下界に出される。

 この神に歯向かう人で一般の世界で暮らす人は、必ず没落するし、屋敷敷地内え起きる事件は、もともと下界では戸籍の無い存在しない人だから、事件にはならない。

 戦前は天皇のプライベートを暴いたり取材はできない。何しろ神だから。
 だけど、戦後はそんな怪しい屋敷やそこの住人については、マスコミがかぎつけ記事にしようと攻めあがってくる。

 それに、後継者として由継に任命されても、自分の感情、振る舞いは一般人と同じ。とても神であるなどと信じられず、神を放棄したくなる後継者も現れてくる。

 この2つがあいまって、神様が崩壊してゆく過程を物語で描く。

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| 古本読書日記 | 05:46 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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