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よしもとばなな   「小さな幸せ46こ」(中公文庫)

 よしもとばななはどんな小さな出来事でも、感受性が強く、右に左に少し揺動する。しかし、最後は前向きにびしっとどうするかを決める。

 揺動は決して難しい言葉は使わず、短い文章で、畳み込むように描写する。そこが、ぐっときてたまらない。

 よしもとさんがメダカを飼っている。まだ1mmくらいの赤子もいる。知識がなかったので親メダカと一緒に飼っていたら、ある日気が付くと大人のメダカが全部子供を食べてしまっている。

 それで、また赤子のメダカを仕入れて、今度は別々の水甕で飼う。
1mmくらいのメダカだが、元気に泳ぎ毎日大きくなっているのが観察しているとわかる。

 少し大きくなったなと思ったところで、大人のメダカを同じ甕に放つ。最初は食べようとするが、じゃれるだけで、子供メダカとは離れて、大人も子供も懸命に休むことなく泳ぐ。

 人間は長い人生のスパンで今は何をすべきかと考えそれでバランスを取ろうとする。
メダカは犬や猫のようなペットと違い、媚びたり、抱かれたりしない。人間のように長く生きることはない。だから、精いっぱい今を頑張って生きようとしている。そんなけなげなメダカによしもとさんは感動する。

 よしもとさんの隣家に幸一杯の5人家族の家がある。一人息子さんは、結婚しているが近くに住み、夫婦一緒にしょっちゅう実家にやってくる。娘さん2人は家庭の雰囲気がいいのかなかなか結婚しない。

 年老いたご両親。お母さんが少し認知症を患っている。まだら模様の過去の話を娘さんが懸命に聞いている。お母さんが、ごはんをこぼしたり、お椀をひっくりかえしたりする。そのたび、娘さんが、「いいのよ」と優しく声をかけ、きれいに片付けてあげる。

 食事が済むと、お父さんが優しく言う。
「来週が彼女の誕生日なんです。そして2か月後に私の誕生日が来ます。その2か月間歳が一緒なんです。2か月間がとても幸せです。」と。

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