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恩田陸    「蜜蜂と遠雷(上)」(幻冬舎文庫)

 私は現在袋井に住んでいて、浜松の会社まで通っていた。浜松はオートバイと楽器の街で、浜松市主催で国際ピアノコンクールが3年に1度開催されている。

 作者恩田さんは、第6回の浜松国際ピアノコンクールから4回、全スケジュールを鑑賞しこの作品を仕上げたそうだ。全日程は2週間ほどあり、これを4回鑑賞するとはその情熱に感心した。

 この小説は上下巻にわたる大長編小説なのだが、全編が第6回芳ケ江国際ピアノコンクール予選から本選までを描き、他の描写は殆ど無いという特異な小説になっている。

 この小説によると、私にはそんな印象は無いのだが、オーケストラやクラシック音楽の市場は毎年減少していて、年齢層の高い人たちには固定ファンはいるが、若い層ではクラシックを楽しむ人たちは殆どいないそうだ。

 ピアノコンクールは、町おこしには効果があるということで、最近著名なコンクールだけでも56もあるそうで、無名なコンクールを入れれば、100以上はあるだろう。

 やはり、ピアノを習う層が岩盤のように厚くいて、多くの練習生がそこからピアニストを目指そうとしているからだ。
 しかし、ピアニストとして生活ができるのは、ほんの少し。殆どがピアノ講師などをしてコンクールを目指す。

 無名のコンクールでは、コンクールに係る一切の費用、新聞広告やチラシなどの費用も主催者に負担させられて持ち出しの場合が殆ど。

 市場縮小のあおりを受けて、CDの作成販売は殆どなされることは無い、もしCD制作販売があれば殆ど自主制作になる。

 この物語では、いろんな人生を歩んできた4人のコンテスタントが登場する。

  今までのピアノ演奏家の殻を破り、完全に自由で独創的な演奏をする風間塵、天才少女としてデビューしたが、母の死で全くピアノを弾けなくなった栄伝文亜夜。ピアニストを諦め楽器店に勤務している高島明石。完璧な技術と優れた音楽性を持つ優勝候補のマサル。

 クラシック界は、自由で独創的な演奏をすることを嫌う傾向があり、また誰に師事しているかで評価されるという伝統的に固定化された古い体質がある。

 この4人のコンテスタントの中では、風間塵が圧倒的に聴衆、読者も魅了しているし、恩田さんの表現も風間の部分に圧倒的に力が籠っている。

 しかし、審査員の評価は極端に分かれ、やっとのことで第一次予選を通過する。
まさか、恩田さん風間が2次、3次予選で落選させるなんてことはないでしょうね。祈りながら下巻に進む。

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| 古本読書日記 | 06:27 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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