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柚木麻子   「奥様はクレイジー フルーツ」(文春文庫)

 不思議なことである。恋人時代は寝ても覚めても互いに相手のことばかり考え、会えばむさぼるように互いの体を求めあう。

 それが結婚をした途端、急激に体の求めあいは減少し、いつのまにかセックスレスになってしまう。

 主人公の初美は結婚して約3年。編集者をしている夫とは仲が良く、優しい彼には不満は無いが、夜の営みがなくなってから2年たつ。夫が浮気でもしていれば、怒った感情をぶつけることもできるのだが、それも無い。

 欲求不満となる初美は、昔の同級生と浮気しそうになったり、高校生の義弟に妄想したり、浪人生を誘惑したり、さらに、胸を触診してくれる女医に欲情を感じたりする。そして、最後には、「男にだかれにゆきます」と書置きをして、寝台夜行列車に一人乗り旅にでる。

 旅から戻る。さすがに夫もまずいと思ったのか、それから2か月後、初美の誘惑により2人は久しぶりに抱き合う。

 ベッドの中で夫がしみじみと言う。
「結婚して俺たちは家族になったんだ。家族だから初美は妹のように思ってしまう。」
なかなか味わいのある言葉だ。

 そうだけど、久しぶりの体の交歓。めいっぱい愛し合おうと初美は頑張る。しかし、どうにも快感は高まらない。その時の描写がなるほどと感心する。

  『初美だって見慣れた夫の体には欲情できないのだ。先ほども、受け入れる準備を整えるべく頭はフル稼働だ。ネットで拾ったプロレス選手のたくましい上半身、男子校に赴任したたったひとりの女教師として四六時中ねばついたいやらしい視線を浴びるブラウス姿の自分、最近応援している売り出し中のアイドルが業界人にめちゃくちゃにもてあそばれている地獄絵など、あらゆる妄想を膨らませ、たった一人で感情を盛り上げていた。
 夫のセックスは最早手助けのあるオナニーに近い』

 こんな夫婦けっこうたくさん存在するのでは?

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| 古本読書日記 | 05:51 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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