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堂場瞬一   「十字の記憶」(角川文庫)

 堂場瞬一、2018年9月現在出版した本は130冊を超えている。デビューが2002年だから、年間8-9冊の本を世の中に送り出していることになる。常軌を逸している冊数である。

 この物語は、地方の市の不正、腐敗を扱っている。国政で権力を握るより、小さい単位の市で権力を握るほうが、おいしい蜜も吸いやすい。

 30年近く前、私が今住んでいる地方都市に引っ越したときは、市は市長一族が権力を握っていた。市長はずっとその一族の持ち回り。主たる産業はすべて一族が担い、他の会社の参入を拒んでいた。

 公共事業の入札情報、あるいは、新駅や高速道路のICの新設情報などを一族の会社に事前に流し、一族が利益を得る仕組みを作り上げていた。権力を行使する対象の人間の数が限られているので、腐敗、不正の秘密は、外に漏れにくくなっていた。

 新聞などマスコミは、国の単位になると、それぞれの媒体のカラーを発揮し権力批判も行えるが、地方の支局となると、権力にすり寄らないと、書くべき記事が無くなる。それで、権力べったりとなる。私の購読している新聞、地方版には、地元の大企業にたいする提灯記事が掲載されない日は無い。その大企業のトップに市長がこびへつらう。市を好きなようにきりまわすのはその大企業のトップで市長は完全にトップの使い走りになっている。

 この作品、市長とその取り巻きの不正が殺人事件を引き起こす。その真相を高校時代同級生で陸上選手だった刑事と新聞記者が追求する。

 縦糸にその友情と絆、横糸に不正、殺人事件が描かれるが、どちらの糸も突っ込み不足で中身が薄く、中途半端な作品になってしまっている。

 年に9冊近くも作品を書いているのだから、こういう作品も書いてしまうのも、仕方ないか。

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| 古本読書日記 | 06:02 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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