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石井好子   「東京の空の下オムレツのにおいは流れる」(河出文庫)

 シャンソン歌手であり、料理研究家でもある石井好子が、興味がわいた料理のレシピを紹介するとともに、人々との出会いのエピソードを描いた作品。

 私が高校生のとき、合唱で「智恵子抄巻末のうた六首」という歌を歌った。巨匠清水脩作曲の歌だ。当時は清水脩が合唱曲の大家で、多くの合唱団が争って清水の合唱曲を歌った。

 清水脩は外国語大学をでて、戦中の東京音楽学校、現在の東京芸大でフランス語講師をしていた。その当時、石井好子は声楽科に学んでいた。声楽科の学生はドイツ語が必須で、その他にイタリー語かフランス語を選択せねばならなかった。石井を除いて、他の学生はすべてイタリー語を選択したが、石井はフランス語を選択。生徒は一人だけなので、聴講生が出席したときを除けば、石井は清水脩と一対一の講義を受けた。

 そのことが石井がシャンソン歌手になることに繋がっていたと石井は言う。

 清水先生は、多くの詩を読め、そして詩情をつかんで詩情を歌えと石井を指導した。
 だから、石井も海外の詩人も含め、中原中也、草野心平、三好達治などの詩を懸命に読み理解しようとした。

 そんな清水脩が死ぬ直前に石井に豪華布地版の限定品である詩集を送ってきた。その詩集に載っている詩がいくつか本作品で紹介されているが、その中で一番印象に残った作品を紹介する。

      「郷愁」
カルルス温泉
銀鮭のフライ レモンのうすい一片(ひときれ)
セロリの冷たい根
ナプキンの角の赤い小さい縫いとり乙女座
ホップ草の花さく山腹を家畜の群れのようにゆく霧

 贅沢な食事、おいしい食事とは、自然に溶け込んで味わう食事のことだと心底感じた。

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