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原田マハ    「ロマンシエ」(小学館文庫)

 ロマンシエとはフランス語で小説家のこと。
原田さんはある対談集でこの作品について語っている。

 キュレイターの仕事でパリに長期滞在していたとき、歴史のあるリトグラフ工房idemに出会う。

 idemは100年以上も前からリトグラフを作成している。ロートレック、ピカソ、シャガールから始まって、サヴィニャック、デヴィッド・リンチ、ジャン=ミッシェル・アルベロラ、ウィリアム・ケントリッジなど錚々たる芸術家のリトグラフを作り出してきている世界最高峰のリトグラフ工房である。そして、制作には100年前に使われていた機械が現在も稼働している。

 そのidemを原田さんが訪れ古い素朴な機械と職人たちにであい、原田さんはこの工房を舞台にして小説を書こうと思いつく。そしてオーナーのパトリスに話を持っていたところ、了解するどころか、小説を執筆するための部屋まで貸してくれた。

 小説の最後に東京ステーションギャラリーで「パリidem工房作品展覧会」が開催される。この展覧会開催のために、場所選びから、作品の選択、作品の包装から輸送、据え付けまですべて行ったのがなんと原田マハ自身。

 その経験が物語としての下地になっている。だから、主要な登場人物以外は実在の人物や場所がそのまま登場している。

 原田さんは、idem工房を訪れた時、物語の最後の文章が浮かび、物語はその言葉に向かってひた走る。
 「大事なのは、自分にすなおになること。自分の気持ち自由にすること。好きだ!と叫びたいなら叫ぶこと」「そして君が叫んでいるその場所。決して世界の端っこなんかじゃない。」

 そして最後の感動的な言葉が記される。
 「君が叫んだその場所こそが、ほんとの世界の真ん中なのだ。」

この作品は、かって大ベストセラー作品となった片山恭一の「世界の中心で、愛を叫ぶ」を彷彿とさせる。

 しかし、片山の作品では、愛を叫ぶために世界の中心とされている宇和島まで行かねばならない。しかし、原田さんの作品は、自由で人生を突っ走り、そこで愛を叫ぶ、その場所こそが世界の中心。世界の中心は、懸命に生きる人とともにそれぞれで存在している。

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| 古本読書日記 | 06:19 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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