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知念実希人    「仮面病棟」(実業乃日本社文庫)

 物語の舞台となる田所病院は療養型病院である。

療養型病院とは身寄りのない一人暮らしの老人やホームレスの人たちが病気になり収容されたり、介護が家庭でできなくなり、収容された人が最後死ぬまで面倒をみる病院である。治療費が負担できないホームレスのような人たちの治療費は公費となる。そんなわけで、不必要な治療をしたようにして、役所に水増し請求をし、公費を詐取する病院も少なくないと巷間言われている。

 こういう病院は、内科的治療が基本で、外科的処方は一切行わない。必要が生じれば、総合病院に患者を移送する。

 しかし、田所病院には手術室がある。それも隣り合わせで2つある。田所が手術をするのである。
手術は必ず2つの手術室で同時に行われる。ということは2人患者が必ずいることになる。そのことは、医院長の田所と2人の看護師しかしらない。患者は秘密のルートで手術室に運ばれる。

 慢性的腎疾患患者がいる。患者は週3回の人工透析を死ぬまで続けなければならない。しかし結局は合併症も引き起こし死にいたることが多い。

 これを克服する治療法は腎臓移植しかない。しかし、実情は移植を待っている人の数に対し、ドナーの数はわずかしかいない。しかも移植には腎臓の適合が条件になるし、摘出した腎臓を素早く移植することが求められる。

 田所は、亡くなっても全く世間から関心のない人々を集め、彼らから腎臓を摘出、腎臓移植を必要とする患者に移植することを実行する。

 ホームレスや死だけを待つ社会で不要となっている入院患者は常に満杯の65人。これだけいれば、患者に適合する腎臓所有者は必ず存在する。

 移植は裏ビジネスとして法外が手術費を請求し、大きな収入がある。
移植は、腎臓を摘出する医師と、移植を行う医師と2人で行われる。

物語は当直で総合病院より主人公の速水が派遣されてきた日、この病院で若い女性拉致監禁事件が発生することから始まる。

 そして、色んな事件が起き、田所病院の裏ビジネスが明らかにされ、思わぬ事件の真相がわかる。その過程にスリルがあり、展開も大きく面白い。

 知念は発想の奥行、幅が深く広く展開も早くスピーディだ。ただ、能力なのか、無理をしているのか発想のすばらしさに比し、文章が薄く軽い。そのため、人物がしっかり描かれていない。だから、もう一つ魅力にかける。

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| 古本読書日記 | 06:14 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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