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佐高信   「メディアの怪人 徳間康快」(講談社アルファ文庫)

 徳間康快、戦後の怪人。山口組田岡組長を陰で支える。早稲田大学時代共産党へ入党。その勢いで読売新聞に入るが、過激な組合運動で読売新聞をやめさせられ、その後印刷会社を買収して「アサヒ芸能新聞」を発刊。しかし失敗して自ら2流雑誌と標榜する大衆週刊誌「アサヒ芸能」を出版。これをベースに徳間書店を設立。さらに、倒産した遠藤実が経営したミノルフォンを引き取り、五木ひろしを育て徳間音工を設立。そしてこれも倒産寸前の映画会社大映を永田雅一よりひきとり、さらに宮崎駿に頼まれスタジオジブリを設立「もののけ姫」を作り、宮崎駿を時の人にさせる。

 この作品はそんな怪物徳間康快の生き様を描く。
と、思いきや、佐高は徳間と親しい関係にあったのだろうか。殆どが、いろんな雑誌や出版本からの読みがき。構成もバラバラで、全く徳間の人間が浮かび上がってこない。

 かなり多くの枚数を、読売で同じ労働運動を指揮した、活動家鈴木東民の人生に割く。労働運動は徳間としただろうことは想像できるが、現実東民と徳間の具体的な生々しい関係があったのか書かれてないので、何のために東民が登場したのかさっぱりわからない。

 スタジオジブリは私たちには最も身近でその設立経過を一番知りたいところだが、宮崎駿と徳間の繋がりが殆ど描かれていない。

 佐高が信望する鈴木東民を書きたいために、徳間をだしに使ったような作品。
 こういう安直な作品を出版してはいけない。

徳間が可愛がった作家は、梶山季之、西村寿行、それに大藪春彦。西村寿行の「君よ憤怒の河を渡れ」で高倉健、中野良子を起用し、日本でもそこそこ観客を集めたが、中国で大フィーバーを起こし、高倉健はこの映画で、中国での大人気俳優となる。

 徳間はこれで大儲けしたと思ったのだが、映画は中国の配給会社買取で、その金額はたったの百万円。どんなに中国で売れてもそれ以上の金は入ってこなかった。

 徳間書店ではエンターテイメント文学賞として大藪春彦賞を実施している。今はどうかしらないが、徳間の文学賞の中で一番高い賞金をだせということで受賞作品は500万円が与えられる。

 食い足りない作品だった。破天荒な徳間の生涯を知りたい。他に徳間を描いた作品は無いのだろうか。

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