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朝倉かすみ    「好かれようとしない」(講談社文庫)

 デートだってしたことがある。一回だけだけど、男と寝たこともある。しかし25歳になる主人公の風吹は、恋に夢中になることは苦手。だから、恋なんてするくらいなら地味で構わない。

 そんな風吹が、エジプト旅行から帰り、アパートに到着すると、スーツケースの鍵を無くして、スーツケースが開けられない。アパートの大家さんから鍵屋さんを紹介してきてもらう。下町の鍵屋なんて、年の経たおじさんがやっているのではと思っていたら、若いハンサムな男性がやってきた。その鍵屋の男性に風吹は一目ぼれ。

 そこから物語は始まり、二人がやっと恋人同士になるまで、何と300ページをこえてその過程を描く物語。

 燃える気持ちは抑えられない。だから、玄関の鍵を隠し持って、ドアが開けられないと鍵屋をよびよせたり、ドアの補助鍵を取り付けると大家を説得して鍵屋に来てもらう。

 しかし、風吹が通っているベリーダンス教室の先生40歳になるヒロエ・Oが浮気をしていて、その相手が鍵屋らしいと知る。バーで鍵屋とヒロエ・Oが接吻しているところを目撃した。

 それどころか80歳になるとする大家のボーイフレンドが鍵屋だという話まであり、大家もそれを認める。
 そんな、燃えたり、冷めたりしながら、鍵屋と風吹が恋人同士になる。

 最後、風吹と鍵屋が居酒屋にゆく。そこでぎこちない会話が繰り広げられる。「趣味は」血液型は」「星座は」というお定まりの質問がずっと続く。
 そのうち質問が発展する。
「映画とか好き」
風吹は即答する。
「好き」
「じゃあ、ドライブは」
「好き」
「公園で日向ぼっこ」
「好き」
「ただぶらぶら歩くだけでも」
「好き」
風吹の「好き」の返事が、だんだん大きくなる。

初々しさが全編をおおう、楽しい恋の物語だ。

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| 古本読書日記 | 06:05 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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