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小杉健治     「灰の男」(上)(祥伝社文庫)

 主人公信吉は、戦争末期、工員募集の広告をみて、応募し、かっては電動器具の部品を製造していたが、軍需工場に転換して、名前も大日本兵器産業と変えた会社に採用され働く。

 この工場に徴用工として働いていた大矢根から、工場倉庫から原材料を盗もうと誘われ、何人かで盗みを実行しようとする。

 戦後になって、第2次世界大戦について、あの戦争は最初から負けることはわかっていたとか、もう近々負けを宣言せざるを得ないことを知っていたと、主張する人がやたら多くいた。

 そんなことをいくら戦後になって威張って言っても、何の価値もない。それなら、戦争中に声を出し、抵抗しないと・・・・。

 こういった甲斐性なしの知識人と違い、戦争が敗戦で近いうちに負けることを知っていたのが、権力者や軍需工場経営者たち。そして、彼らは、敗戦後成功するために、今何をすべきか考え実行していた。

 大矢根は言う。
日本は最新式で最も世界で優秀な戦闘機ゼロ戦を開発製造した。しかし、ゼロ戦があっても、戦争は近々負ける。そんなときに、軍の指示通りゼロ戦を作って、戦争が終わり、ゼロ戦を軍が引き取らなかったら、販売不能な在庫を抱え、会社は倒産する。

 だから、戦闘機に必要な材料であるアルミインゴットは、闇の市場に流し、材料不足として戦闘機製造には回さない。その方が大きな利益がでる。

 また徴用工のための労務加配米を、できるだけ食事に使用しないで、貯め込み、戦後ヤミ米として販売し莫大な利益をあげる。

 特権階級は、国民窮乏でも、贅沢三昧の生活を享受している。だから、そのおこぼれを我々もいただくのだと仲間を説得する。

 特権階級というのは、戦争の中でどうやって儲け、戦後庶民を苦しめそこから搾り取りどうやって生きてゆくかを考えていたのだ。

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