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鎌田慧   「生きるための101冊」(岩波ジュニア新書)

 大学は地方で、生活は寮だった。まだ、学生運動の残り火が燃えていて、寮はその活動の拠点だった。

 机に並べる本も、読む読まないにかかわらず、真ん中に「資本論」それを挟んで「マルクス・エンゲルス全集」雑誌は「経済」。小説は高橋和巳。「共産党宣言」に「空想から科学へ」
「レーニン全集」が積み上げられていなくては先輩から厳しい叱責をもらった。

 もっと普通一般の本を読みたかった。当時、五木寛之が颯爽と登場してきた。先輩に見つからないように、隠れて読み、読み終わると押し入れのふとんの下に隠した。

 鎌田さんが読むべき101冊は、やはり鎌田さんを反映して、市民運動、社会弱者視点を軸にしている本が殆ど。当然、マルクス、エンゲルスの作品も入っている。沖縄を扱った本は4冊も入っている。

 固い信念を基盤に選んでいるだろうから、鎌田さんは思わないだろうけど、いかにも肩に力がはいり窮屈に見える。もっと肩に力を抜いていろんな本を読んでみたらと思ってしまう。
 と、思っていたら、101冊の中に、私がふとんの下に隠していた五木寛之の「風に吹かれて」があった。

 バスに乗って、振り返ると、通りを歩いている恩師横田先生と目が合う。
「お、君は景気がいいからバスなんだね。僕は景気が悪いから今日も歩きさ。風が冷たいねえ」
と自嘲されているようでもあった。私は身の置き所がなくなったように思え、もじもじし、もう血を売っても、バスに乗るのはやめようと考えていた。寒い、風の強い午後だった。

戦後間もない大学生は、貧乏だったので、よく売血をして授業料や生活費を稼いでいた。た。
先生を思いやる暖かいエッセイである。

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| 古本読書日記 | 06:21 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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