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鎌田慧    「橋の上の『殺意』 畠山鈴香はどう裁かれたか」(講談社文庫)

 2006年世間を騒がせた秋田県の山間地、藤里町で起きた、児童2児殺害事件の裁判経過をドキュメンタリーにして扱っている。

 2006年4月、畠山鈴香の「娘の彩香が川に落ちて流された」との通報により、捜索がなされ、藤琴川、鈴香の家から8km下流で彩香の溺死体を発見される。外傷が全く無かったため事故として処理される。その一か月後、鈴香の2軒隣の米山豪憲君が米代川河畔で絞殺された死体が発見された。

 鈴香が豪憲君が殺害された時刻に自宅にいてアリバイが無いので、鈴香を任意同行して聴取したところ、犯行を自白したので、逮捕。さらに、事故として処理していた鈴香の娘彩香についても事件に切り替え、犯人は鈴香ではないかということで、鈴香を拘置したうえで追及が始まる。そして鈴香が彩香ちゃんを殺害したという自白を得る。

 裁判が開始される。
彩香ちゃん殺しでは、読んでいて2つの点が不可解に思えた。

 まず、殺しの証拠は全くなく唯一の拠り所は、鈴香容疑者の自白だけであるということ。
鈴香は、大橋という橋まででかけたことは認めるが、殺害したか覚えていないと主張する。だから、警察が殺害方法を創作し、それを鈴香につきつけ、脅し、甘言を弄し、調書にして鈴香の署名、拇印をさせる。

 鈴香は殺害の記憶が飛び、記憶が戻るのは、自分の車に乗り、彩香がいないことを知ったところから。それで家に戻らねばと車を発進させる。

 鈴香は裁判でも、一貫して殺害場面は記憶が無いと主張。自白したとされる殺害方法については警察が創作したものと主張する。

 もう一点は、8kmも下流に流され、何の傷もないとくことは考えられない点。

更に、豪憲君の殺害の動機。これも警察が創作。「自分の子は亡くなっているのに、豪憲君が元気でいることが憎い」それで殺したと。鈴香は動機はわからないと供述。

 殺害の見立ては4つに分かれる。「殺人」「無理心中」「過失致死」「監督不行き届き」。
殺人ということになれば、鈴香は2人の殺しをしているのだから判決は死刑に相当する。

 鈴香に殺意があり、2人を殺したのかが、裁判では争点となる。
現在死刑を実施している国は、世界で42か国。死刑を廃止している国は97か国。制度はあるがこの10年死刑を行っていない48か国。

 著者鎌田は。死刑は国家による殺人と規定し、死刑廃止論者であるため、論調は死刑にしてはいけないといトーンで作品は書かれている。

 そして、判決は検察の言い分を認めるが、鈴香には更生の可能性があるとして無期懲役の判決を下す。
 多くのマスコミ、コメンテーターが豪憲君の親の心情を思えば、死刑以外にありえないと発言する。
 しかし、著者鎌田はこれでよかったと振り返る。

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| 古本読書日記 | 06:18 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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