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鎌田慧    「家族が自殺に追い込まれるとき」(講談社文庫)

 作品が舞台となっている時代、1990年代はまだ「過労死」という言葉が認知されていなかった。その時代に過労により自殺に追い込まれた15件を取材して書き上げた作品。

 最近は、電通の事件もあり過労死ということは日本語どころか英語でも通じるようになり、大きな社会問題となっている。
 どの案件も、壮絶な労働実態である。年に休みは2日だけとか、朝早く出勤して、その日のうちには帰宅してこないなど。

 それにしても、今でもそうだと思うが、過労死TPして労災申請しても、労働基準監督署は労災と認定しない。つまり、過労が自殺の原因ではないとする。他の要因を探す。これはいじめに対するする、教育委員会、学校の対応に似ている。

 長野、塩尻にあるプレス加工会社の飯島盛さんの首つり自殺について、労災申請をして,,過労との因果関係を調べるのに、精神科医の意見書を客観資料として入手する。3人の精神科医から意見書をもらい、2人の精神科医は因果関係があるという意見書だったが、一人の精神科医は因果関係はなく、別の原因があるという意見書。労基署は当然、なしの意見書を採用する。

 この内容が本当?と首をかしげる内容。
飯島さんの妻の旧姓は松嶋。「嶋」と「島」では、「嶋」の方が格上。それで飯島さんは妻に対して顔が上がらず、ずっと重圧を感じていた。これが自殺の原因と断定する。

 労災はとにかく申請しても、認可されない。おかげで保険料は8兆円も当時繰り越している。このお金は、厚生労働省の天下り団体、例えば労災病院などの資金に使われる。

 企業は、労働者が死亡した場合独自に「団体定期保険」に加入する。この保険金は本来労働者の遺族に支払われるべきものなのだが、すべて企業にはいる。最近は裁判で、遺族に入るケースもあるようだが。

 81年に北海道北炭夕張炭鉱で爆発があり83人の炭鉱夫が死亡。企業に莫大な保険金がおりた。この時、7人の鉱夫を派遣していた経営者に大きな保険金が支払われる。これに味をしめた経営者夫婦は、雇っている労働者の住居に放火して6人を殺し、保険金を得ようとした。

 労働災害をめぐっては、本当にいろいろなことが起きる。

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| 古本読書日記 | 05:46 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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