FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

彩瀬まる   「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出」(新潮文庫)

 その日、彩瀬さんは東北旅行を一人楽しみ、仙台駅から磐城市にむかっていた。電車が突然止まる。駅名を見ると「新池」と書いてある。車内アナウンスがある。

「この先、線路わきの多くで火災が発生しており、しばらく停車をします。」と、そして直後緊急地震速報が携帯電話で一斉に鳴り響く。地面を突き上げるような大きな音とともに電車が大きく揺れる。このままでは危険と。乗客全員が外へでて、避難を開始する。彩瀬さんも、隣に座っていたリカコさんに促され避難をする。

 避難途中で、町の車が「津波が来ます。高台に避難してください」と声をあげる。
道路は陥没。電柱は60度曲がり、家々は崩落してがれきの山。みんなで中学校がある高台をめざす。

 中学校に着き、屋上に行くと、足下が海になっている。車や家が流されている。

中学校でたくさんの人たちと避難生活が始まる。リカコさんが、「相馬の家まで行き、車で迎えに来るから待っていて。今日は私の家に泊まったら」と申し出て、避難所から出てゆく。
一時間ほどで帰ってくると言っていたが、何時間待っても来ない。

 隣で避難していたショウコさんが、家と電話がつながる。弟さんが迎えに来る。家は壊れた箇所があるが、泊まることができるから、一緒に行こうという。

 たくさんの避難者がいるのに、私だけが、泊まりに行くなんてと逡巡していると、避難してきたあるおじさんが、「気にせず行きなさいよ。」後押し。それで南相馬のショウコさんの家に行く。

 4日間ショウコさんの家にお世話になり、3月15日に脱出を決意。福島駅まで送ってもらい、高速バスで那須塩原駅まで行き、そこから新幹線で東京にそして家に着く。
 彩瀬さんは、震災被災者だった。被災から東北脱出までをドキュメンタリー作家になり描く。

 その後彩瀬さんは、被災者の窮状を目の当たりにしたこと、更に被災者の人たちの支援で東北脱出ができたことを思い、復興ボランティア活動をする。

 当然、相馬の町でのボランティア。そこで、町の担当者が確認する。

「活動していただく場所は、原発から27KMの場所ですが、大丈夫ですか。」と。
彩瀬さん、そこは被災者のためと思い、大丈夫と足を踏み出す。

 ボランティアが終わると、依頼主の人が土のついた玉ねぎを、「お疲れさん。この玉ねぎは安全だよ」と言ってみんなにあげようとする。貰わない人もいたが、彩瀬さんは4個もらう。

 その玉ねぎを宿泊先のミツコさんの家に持ち帰る。
 彩瀬さんが戸惑った顔をしていると、ミツコさんが察して、「ウチで引き取るから大丈夫よ。」と言ってくれる。玉ねぎをミツコさんに渡す。

 ボランティアなどと気取ってみても、玉ねぎが放射能汚染しているのでは、それが怖い。このことが今でも彩瀬さんを苦しめている。

復興支援、絆など、世の中を覆いつくした言葉がむなしく、切ない。


ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 06:06 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT