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パトリシア ハイスミス  「リプリーをまねた少年」(河出文庫)

 自由人にて犯罪者であるリプリー。このリプリーの人物像が、私にはよく理解できない。この作品で少し詳細が明らかにされているが、彼そのものは全く仕事をしてなくて、定収入は3つのルートがある。

 まず、彼の妻エロイーズがフランスの大製紙会社の社長の令嬢で、金額は書かれてないが月数百万円の援助がある。

 さらに、有名画家ダーワッドの販売をてがけているバックマスター画廊で扱っている画材の販売によるコミッションが30万円ほどある。

 それから、「太陽がいっぱい」で殺害したフィリップ グリーンリーフの遺書を偽造して毎月入ってくる遺産が180万円。つまり年収で数千万円が入ってきている。

 パリ郊外のフォンテーヌブローの森から数キロ離れたヴィルペルス村に屋敷を持ち、お手伝いさんまで使っている。優雅な生活をしている。
 この状態で、なぜ次々危険な殺人を行うのか全く理解できないのである。

それでも本作品の前までのリプリーシリーズは殺人の見返りとしてあるお金が入ってきた。しかし、この作品は前3作と異なりまったく見返りが無い異色作品となっている。

 リプリーが夜中、家に帰る途中、一人の少年に遭遇する。少年はリプリーの家を目指していた。車に乗せ家に連れて帰り、事情を聴く。

 少年はフランク ピアーソン16歳。アメリカ食品業界の大物ジョン ピアーソンの次男。ジョンピアーソンは暗殺未遂により足を負傷車椅子生活をしていた。ある日、日課である夕日を見に、一人で自宅の海の見える崖まで行き、そこから転落して亡くなる。警察は事故として処理する。

 その直後から、フランク ピアーソンが失踪。3週間みつからないままになっていた。

フランクは、「太陽がいっぱい」でのグリーンリーフ殺害事件をアメリカの新聞で知り、そこに載っていたリプリーに憧れ、会いたくなって、兄のパスポートを使って、ロンドン、パリ経由でリプリーの家までやってきたと言う。

 リプリーがさらに尋ねる。
すると、リプリーを心酔しているフランクは、父親との関係が最悪な状態にあり、実は崖から突き落として殺したととんでもない告白をする。

 その瞬間リプリーはすべてをかけてフランクを守り抜く決意をする。

やがてリプリーの家にもアメリカ警察の要請をうけ、捜査員がやってきたり、ピアーソン家お抱えの探偵がコンタクトをとってくる。
 リプリーはフランクにアメリカに帰国してはと説得するが、フランクが拒否。
しかたなく、フランクはベルリンにフランクを連れ出す。そこで、懸命な説得を続け、アメリカ帰国を承諾させるが、その直後にフランクは拉致され身代金が要求される。

 ここでリプリーがフランクが匿われている場所をつきとめ、誘拐犯とピストルで対決して、フランクを救助する。この場面がクライマックス。

 救出されたフランクを探偵に引き渡して終わりかと思ったら、フランクが自殺するのではと思ったリプリーはニューヨーク行きのフランクが搭乗する便を予約して、一緒にアメリカに行く。

 これでめでたしと思っていたら、フランクは一人になった瞬間に家を飛び出て、父を殺した崖から身を投げ自殺する。
 ここまで信頼しあったリプリーとフランク。それでもフランクが救えなかったことが、本当にせつない。

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| 古本読書日記 | 06:36 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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