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朝倉かすみ   「タイム屋文庫」(潮文庫)

 私が会社員のとき、席を並べて仕事をしていた後輩が、優秀だったのに、突然会社をやめた。彼はソフトボールと読書が大好きだった。それで、古本を大量に収集して、古民家を借り、カフェを始めた。

 カフェは、もちろん幾つかのテーブル席もあったが、自由に寝ころびながら本を読むスタイルのカフェだった。店は話題を集め、よくラジオなどに登場した。

 しかし、さすがに本を読むひとが減少するなか、お客も少なくなり、経営不能になったのか店をたたんで、故郷へ帰って行った。

 この物語の主人公31歳の柊子。会社で2年間上司との不倫に疲れ、会社をやめ、祖母の家に帰り2人暮らしをはじめ、祖母が101歳で亡くなったのを期に、祖母の家で、時間旅行の本ばかりを集めて貸本屋兼カフェを始める。

 私の同僚の古本カフェでもそうだったのだが、寝ころび本を読んでいると、強い眠気が襲ってきて、いつのまにか眠ってしまうお客が多かった。

 柊子の店も本を読みながら寝てしまう客ばかりだった。そして、眠った客は、自分の未来の夢をみるようになった。

 柊子は15歳のとき、大好きな子ができた。吉成君と言った。柊子は初めて2人だけで言葉を交わしたとき「結婚してください」と言ってしまう。驚いた吉成君は唖然としたまま。

 柊子は、また吉成君に再会したいと思い、再会できるまで続けるつもりで貸本屋を開いた。
きっかけはちょっとしたことだけど、平凡な人生からちょっとジャンプして夢だった生活を実現したかったから。

 柊子はジャンプした。そして15年後に偶然吉成君にプロポーズした同じ場所で再会をはたす。15年の没交渉は長い。吉成君はともかく、柊子は泥沼の不倫も経験していたし、今は貸本屋の近くのレストランシェフと体の関係を持っている。とても、吉成君と人生をやりなおせる状態ではない。2人はぎこちなく会話を交わし別れる。

 それでジャンプした柊子の人生は平凡な人生から変わったか。それから7年。柊子はレストランシェフと結婚して2人の子供を育てる母になり、全く平凡な人生に戻った。

 しかし、夫と時々、古民家に行き、スタンドナンバーをかけて、2人だけのダンスを楽しんでいる。

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| 古本読書日記 | 06:17 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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