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岸本葉子   「週末の人生 カフェはじめます」(双葉文庫)

 主人公の正美は、大学を卒業して、天下り団体の下部法人に勤めている。4人の勤め人がいる小社団法人で、今時PCも使わず、白紙に罫線をハンドで引いて、書類や資料を作るような法人。仕事は楽で、生涯も保障されているし、幸な状況だと正美は認識している。

 正美は、目立たない引っ込み思案の性格で、員数あわせで合コンにもゆくが、いつも片隅に座っている状態。こんな状況なので、44歳になるが独身である。

 そんな中、スーパーでスーパーの隣に住む独居老人ムツミと知り合い、ムツミの家に行く。ムツミの住む和洋折衷の家を気に入るのだが、その家は、2つの不動産屋に狙いをつけられ、買取をされそうなことを知り、家の1階を貸してもらい、週末の休日カフェを開き、家を残そうとする。

 このカフェを開店するまでが大変。保健所の認可がいる。この認可のためには、職員衛生法のもと、食品衛生管理士がいなければならない。さらに、保健所の検査を通過せねばならない。
 管理士になるためには、管理士講座を受け、その後にある試験に、合格せねばならない。

検査は事前に図面を作成し、保健所に持ち込み、改善指導を受け、これで大丈夫だろうというところまできて、改修工事に着手する。この交渉が大変。

 正美は全くその方面の知識は無かったが、周囲の協力を得て、保健所の認可を取得。店の開店にこぎつける。

 店は「おにぎりカフェ」。焼きおにぎり、塩むすびなどのおにぎりに、季節野菜の糠漬け、番茶をセットしたおにぎりセットのみで、900円/セット。

 物語は、暖かい雰囲気で進行するが、いくら舞台が吉祥寺といっても、このメニュー、値段では客はよりつかない。物語の暖かい雰囲気に水を差している。

 でも、44歳の平凡な人生を送ってきた独身の女性が、ふとしたきっかけで新たな道に踏み出したいという気持ちはよくわかるし、伝わってくる。
 名エッセイスト岸本さんの初めてチャレンジした長編小説である。

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