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森村誠一   「終列車」(祥伝社文庫)

 30年ぶりくらい、久しぶりに森村誠一作品を読んだ。森村の香りがいっぱいする作品で、なつかしさを覚えた。

 ある日の夕刻、買い物帰りの母子。通りの犬の吠え声に驚いた子が、道路に飛び跳ねたところへ、車がやってきて衝突。子どもが即死する。車はそのまま逃亡する。それから数十分後、小さな子がいたずらで空き缶を車が走る車道に投げる。驚いた運転手がブレーキをかけた途端、後続の2台が玉突きで衝突。真ん中の車が炎上。その車に乗っていた母子が亡くなる。

 更に、玉突き事故で最初の車を運転していた女性と、3番目の車に乗っていた男女が他殺死体となってみつかる。

 犯人、3番目の車は母子を殺された父親。最初の車は実は2人が乗っていて、運転していた大手自動車メーカーの常務。

 森村らしいと思ったのは、次のこと。

この物語、直接事件の犯人とはかかわりのない、男女が、上高地から、奥穂高温泉まで、山荘やひなびた温泉を転々と逃避行をする。読者は2人が犯人ではないことはほぼわかっている。

 ここの山や渓谷の峰々や風景とそれに伴う2人の心象が、情緒たっぷりの文章で、鮮やかにそれも多くのページを割いて描写される。事件とは関わりないのに、森村が物語で最も力を入れて書いたところのように感じる。

 多分森村は映像化を意識して作品を作ったと思う。
この焦点ずれした描写が、森村だなあと強く思った。

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