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桜庭一樹    「ほんとうの花を見せにきた」(文春文庫)

 中国奥地からやってきた吸血鬼種族のバンブー。
主人公梗太一家、ある夜マフィアに襲われ、梗太を除いて、一家全員が惨殺される。梗太は寸でのところで吸血鬼バンブーの2人、ムスタァ、洋治に救われ、育てられることになる。梗太10歳の時だった。

 ムスタァと洋治は、昼は行李に入って眠り、夜になると行李をでて空を飛びまわり、夜明け前に帰ってきてまた行李で眠る。手を握ると氷のように冷たい。そして不思議なのは、少しも年をとらず、全く変化が無い。

 ムスタァと洋治は心を込めて梗太を育てる。梗太が毎日どんどん変化してゆくのが楽しみのように感じている。梗太の人生はロウソクの炎。この炎を絶やさないようにムスタァと洋治は守る。

 しかし、梗太の通っている学校で、尊敬していたユウタ先生と、大の親友だったニタが殺され梗太は人生に空しさを感じる。

 それで、梗太はムスタァと洋治に自分もバンブーにしてほしいと頼むが、それはできないと拒否され、梗太が18歳になったら、自分たちの手元から離れなければならないと告げられる。

 実は、バンブーには強い掟がある。生き血を吸ってはならない。人間と一緒に暮らしてはならない。暮らしていることがわかれば即死刑。バンブー族の集会場所を教えてはならない。

 洋治と梗太は、一緒に暮らしていたということで逮捕され、梗太は縛られ、洋治は殺される。縛られた梗太をムスタァが救ってくれる。

 また、梗太にははぐれバンブーの茉莉花という友達がいる。茉莉花は梗太をバンブーの集会場所に連れてゆく。また茉莉花は、殺人事件を起こし、逃げている人間の血を吸っている。

 この罪で茉莉花は15年の地に埋められる刑を受ける。

 そして梗太は普通の人間の世界に戻る。

 梗太は大学を卒業して社会人となり普通の生活を送る。15年後に茉莉花にであう。60年後にムスタァに出会う。
 梗太の大きな変化と成長にムスタァや茉莉花は喜ぶ。

 バンブーの世界は、今と過去しかない世界。人間でいえば全く死んでしまった世界。人間は未来があり、変化し成長する世界。だから、バンブーは人間に憧れる。ムスタァも洋治もだから梗太を懸命に育てる。

 しかし、人間の中に人生を60年、70年と生きてきて、ムスタァや洋治の憧れ、成長と夢を実現した充実した人生を送れた人はこの世にどれだけいるのだろうか。

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| 古本読書日記 | 06:14 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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