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中田永一    「私は存在が空気」(祥伝社文庫)

 6編のホラー、ファンタジックそして少し悲しい恋愛短編集。
最初の作品「少年ジャンパー」が印象に残る作品。

 主人公の大塚は、容貌が見にくいと信じ、それでいじめられ、登校拒否ひきこもりの高校一年生。

 お盆に親戚が集まってきた。そんな時、トイレに行きたくなったが、トイレに行くと親戚に会わねばなならない。それはできないと、2階の雨どいをつたい歩き外へでて公園のトイレに行こうとする。そこで、落ちそうになり、これはだめだと瞑った目を開けると、200mも先にある公園のトイレの横に立っていた。大塚は、行きたいところがあって念じれば、そこに行く能力を持っていることを知る。しかしそこは過去に行ったことがある所に限定される。

 ある日、本が欲しくなりこ使いをもらって、ジャンプして本屋に到着。そのままジャンプして家に戻ると早すぎ母がおかしいと思いそうなので、帰りは電車にする。

 電車をプラットホームで待っていると、3年生の女子高生瀬名先輩がいることに気付く。先輩が、おばさんの集団の尻でおされ、線路に落ちる。そこへ急行列車がつっこんでくる。あわやのところで大塚が線路へ飛び降り、瀬名先輩を抱えてジャンプで家まで連れてくる。

 ジャンプ能力を知った瀬名先輩が大塚に、今東京に行ってしまった恋人の先輩が冷たい。他に恋人でもできたのではとジャンプを使って恋人のいるところに確かめに連れていってほしいとお願いする。

 それで2回ジャンプを使い恋人のところまで連れていってやる。さらに大塚は一人でも一回恋人の動向調査にゆく。
 そして瀬名先輩の恋人は今でも瀬名のことを好きだということがわかる。

 大塚は引きこもり後、他人との会話ができなくなっていた。瀬名が久しぶりに会話ができる人になった。そして、恋心も芽生えていた。

 そんな瀬名が、ジャンプではなく、新幹線で泊りで恋人に会いに行く。そして帰ってきて大塚にたくさんの東京みやげをあげる。その時、アメリカのグランドキャニオンに行けたらなあと瀬名が言う。

 一週間後が瀬名の誕生日だ。プレゼントはグランドキャニオンに連れていってあげることだ。

 しかし、大塚はアメリカは家族でサンフランシスコにしか行ったことがない。その日から、大塚はジャンプでサンフランシスコに飛ぶ。そこで一泊して、翌朝ラスベガスまでバスのチケットを買いゆく。さらに泊り、またバスでグランドキャニオン、フーバーダムまで行く。そしてジャンプで家に着く。次の日の誕生日。瀬名先輩を連れ、同じ行程を辿る。瀬名は大感激。

 しかし、日本に戻ると、瀬名は恋人のもとに走る。

大塚は切ないと感じる。しかし、あのひきこもりの大塚が、アメリカまで行き、バスでグランドキャニオンまで行ったのだ。

 瀬名と日本に戻ってきた翌日、明るくたくましくなった大塚が学校にいた。
物語の設定はありがちだけど、中田の名手腕により、鮮やかな成長物語が生まれた。

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| 古本読書日記 | 05:53 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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