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高杉良     「起業闘争」(角川文庫)

 1981年、IHI(石川島播磨重工業)の情報システム外販事業部隊が、会社の意向で外販をやめることになり、リストラされることになった。

 そこで、この部隊の中核を担っていた碓井優が、部隊80人を率いて、会社を退職、コスモエイティという会社を設立する。
 この経緯を描いたのが紹介の作品である。

 この経緯、会社に反旗をひるがえし、脱藩の計画を見事にとげ、IHIに大打撃を与えたように描かれるが、本当なのかどうしても首をかしげる。

 そもそも、この事件は、サンデー毎日が一流会社の社員が大脱走を行うと大々的にスクープしたことで、世間に対し衝撃を与え大きな話題となった。

 そして碓井は大企業の横暴に立ち向かった人としてヒーローとなり、確かこのときにベンチャーという言葉が初めて流布された。

 しかし、よくよく経緯を冷静にみてみると、外販事業は撤退するのだから、会社としてはその部隊は不要人員となり、退職金割り増しなど不要な経費を使うことなく、会社を去っていってくれることは大歓迎。脱藩者も含め、どちら側も大騒ぎするような話題ではない。

 それを大マスコミが、大脱走と騒ぎ立て、煽った結果話が変にねじまげられたのである。

 だから、悪者に仕立て上げられた会社は、形式的に脱藩者に慰留工作をせざるを得なくなった。

 単純な話を、事実をしっかりみることなく、ねじまげて仕立て上げたサンデー毎日に責任のある問題であった。

  それで、碓井が設立したコスモ エイティ。アップルやグーグルのように革新的創造で世界に冠たる企業に発展することなく、IHIの時代顧客だった企業を引き継ぎ、単なるシステムハウス企業になり、13年後にセコムに吸収され企業名も消えている。

 この作品タイトルを変え再出版している。今読み返して、あの騒ぎは何だったんだろうかと再度、マスコミが悪の意図を持った報道のひどさを思い直した。

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| 古本読書日記 | 06:43 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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