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キャスリーン・デマーコ  「クランベリー・クイーン」(ハヤカワepi文庫)

 この作品の解説でも書かれているが、現在まで女性はどんどん解放され、自由に生き方を選び、社会のあらゆる場所に進出してきた。

 それにより、「愛」が最も重要なテーマであった時代から、自由になるにつれ、それに伴いテーマは「孤独」となり、今は「癒し」に変化した。

 主人公のダイアナは33歳。モンスターと言われている恋人に振られ、更に、両親と兄の乗った車に酔っ払いの車が追突し、すべての彼女の家族が死んでしまう。

 高収益をあげているインターネット企業のマーケティング部門につとめ、優秀な社員として、高額な報酬を得ていた。しかし、恋人、家族を瞬時に失い、気をかけてくれた会社の上司や仲間に心の蔑みから、反射的に会社を辞めると宣言して、そのまま会社を去る。

 そして、おじさんから紹介された精神科病院に行く途中、住んでいたニューヨークがいやになり、そのまま病院に行かずにあてどなくボルボを運転してさまよう。

 アメリカ人好みのロード小説である。

そして、ある場所で、前を走っているオートバイに追突して運転手を跳ね飛ばす。おでこを打って傷がつき出血する。そこにマルボロくわえている女性が現れ、何もダイアナができずに茫然としていると、横たわっているオートバイの運転手に近付き抱き上げる。

 運転手は、年老いたおばあさんだった。おばあさんは少し手に傷を負っていたが、大丈夫、気にしない、気にしないと気丈に声をあげる。

 お婆さんの名前はロージー。そしてお婆さんを抱き上げたマルボロガールがお婆さんの孫娘であるルイーザ。
 事故を起こした場所は、ニュージャージーの小さな村。ダイアナはロージーの家でしばらく滞在することになる。

 その村はさわやかな空気、澄み渡る青空、暖かい人々。絶望、孤独の心が次第に洗われてゆく。作者は、このままダイアナがどん底から再生への道に踏み出す過程を描くのだが、これで再生につながってゆくのだろうかという場面が続き。アメリカ人の気質と日本人は大きく違うことを確認するばかり。

 特にルイーザとダイアナは、鋭く研ぎ澄まされた言い合いを続ける。絶望感から、暗く、心が弱くなっているが、その心の発露が、自暴自棄感情的に激しい言葉になる。

 理解できないわけではないが、ついてゆくのがしんどい。

癒すところがほとんどない。「人生を強くつきすすめ。」「新しい道に踏み出せ。」という前向きな励ましだけ。これでダイアナが再生への道に踏み出すとはとても思えなかった。

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| 古本読書日記 | 06:28 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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