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いしいしんじ   「海と山のピアノ」(新潮文庫)

 いしいさんは、他の作家のように頭で懸命に想像して世界を作り上げ描く作家ではなく、すでにいしいさんの頭に独自の世界がありそれを描写して物語を作る作家である。いしいさんには見えていて、そのまま描写でき、それが当たり前の世界だから、読者にわかるだろうと思い、物語を創作する。だから、いしいさんと同じように世界が見える読者には受け入れやすいが、まったく見えていない読者には拒否反応がおこり、読んでいても理解ができない状態になる。

 私は見えたり、見えなかったり半分くらい。この作品集も読んでいてもわからない作品があった。この作品集では「川の棺」が面白い。

 主人公は、ガーナの首都アクラでアフリカ関連問題の国際会議に出席する。そしてアクラのこみいった商店街のなかに変わった店があるのを発見する。

 極彩色に彩ったプラスティックの人形、大人2人分もある大きなビール瓶、それと同じ大きさの飛行機、それからまた同じ大きさのエビが店頭に並べられている。

 次の日、会議に出席していたダー君と運転手とともに同じ店に行き、店主にこれらは何か聞く。店主はこの店は棺桶屋で、亡くなったときに最後に入りたい棺桶を注文により作っている、つまり店頭にあるのも棺桶であると答える。

 主人公が店主にさらに聞く。今までに最も変わった注文の棺桶は何だったかと。店主が考えて「川」の棺桶だったと答える。その注文がきた村はアシュン村。場所は川をさかのぼり二俣になったところを右側に進めばあると教えてくれる。いわれた通り、右に進むと、また二股になる。そこを右に進むとまた二股になる。また右に進む。こんなことを繰り返していると、同じところを回っていることに気付く。

 で、船着き場のある岸に船をつけて、陸にあがる。そこに老人がいて、陸に上がった場所にある小屋で待つように指示される。

 そして夜がやってくると、ある老人の葬式が始まる。老人の棺桶は、どこからきてどこへ行くのかわからないが、棺桶の中に川が流れている。先ほど、待つように指示した老人が神魚といわれているエンドリケリーや子供たちが小魚を棺桶に入れると、どこに行くかわからないが、みんな泳いで消える。

 一緒に来た運転手の靴が盗まれる。翌朝、主人公と運転手は船着き場にゆく。途中川の中に、たくさんの死体が沈んでいた。川が棺桶、墓場になっているのである。一緒に来たダー君はもう少し村にいると言って帰るのをやめる。

 面白いのは、人間が生きているのと同じような世界が死後の世界にもあること。そこには、小屋のような結節点があり、そこを経由して死後の世界に行くこと。

 ということは運転手は靴を死んだ人に盗まれていたということになる。さらに、残るダー君はどうなるのだろうと心配にもなる。

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| 古本読書日記 | 05:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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