FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

三崎亜紀   「ニセモノの妻」(新潮文庫)

 普通の夫婦の日常にズレが生じ、非日常が入り込む。それにより、巻き起こされる事態に対応する、少し切なく、しかしほほえましい連作短編集。

 本のタイトルになっている「ニセモノの妻」は、ある日妻が私は実はニセモノの妻かもしれないと言い出し、では、ホンモノの妻はどこにいるのか、それを夫婦で探そうとする物語。

 この小説も面白いと思ったが、発想がユニークで唸らせた物語は最後に収録されている「断層」。

 ある時から、妻に対する時間の速度と、夫に対する時間の速度に大きな差が発生する物語だ。妻の時間速度30分ほどが、夫では一日となる。

 妻は30分ほど何かをすると、少しいつも眠る。その間に夫は、会社にでかけ、仕事をして帰ってくるほどに時間が進む。

 大変なのは、妻が目覚めたときは、30分前と同じ状態になっていなくてはいけない。これが大変な作業となる。

 食材への対応が一番緊張する。

 自宅に帰る前に、必ずスーパーに寄る。その時には、いつも妻が寝た時の冷蔵庫の状態を記憶しておかねばならない。
 すでに開封済みの商品は、補充する分だけを購入する。

 しかし補充できる商品ばかりではない。
5日前に賞味期限が切れた牛乳は、新しい牛乳を購入して、残っていた牛乳と、新品牛乳の使用済み量を廃棄して、元あったようにせねばならない。
キャベツも購入して、使用済みの量まで減らして、減らした分は廃棄せねばならない。

 卵も新品を買って、未使用の4個を残して、6個は廃棄する

 未開封で、賞味期限切れの商品については、メーカーにお願いして、偽装日付けが貼られている商品を送付してもらう対応をとる。

 食材だけでなく、動かした置物や、衣装なども元の状態に戻しておかねばならない。

しかし、三崎はこんなことがおこったら、そのへんてこさを笑いで包み物語にしている。そのへんてこな状況が読みおわってもいつまでも残り少しくらくらした。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


| 古本読書日記 | 06:17 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT