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佐々木丸美    「雪の断章」(創元推理文庫)

1975年出版、佐々木さんの処女作である。出版当時この作品は評判をとり、斉藤由貴主演で映画化もされている。この作品に続き、幾つかの印象的な作品を残すが、佐々木さんは2005年56歳の若さで亡くなっている。

 ということで忘れられていた作家だったのだが、最近見直され、創元推理文庫を中心に佐々木さんの作品が文庫化され再出版されだした。熱狂的なファンもいて、一部では佐々木さん研究が開催されている。

 この作品は、私の青春時代に作り出された作品だと実感する。パソコンを使わず、ペンで懸命に書き上げた香りがする。
 ゲームもなく、テレビのチャンネル数も少なく、金もなく、時間だけはたくさんあった。夜は車座になって議論やばか話、それか、一人じっと考えをめぐらして時間をつぶした。

 だから、物語は、会話より、物思い、心象を表現する部分が長く、重く描かれる。佐々木さんは北海道出身で札幌に住み、作品を書く。同時代に次々ベストセラーを世に送り出した同じ北海道出身の三浦綾子に作風がそっくり。ただし佐々木さんは、あくまでミステリー作家ではあるが・・・。そういえば、三浦綾子も文壇を嫌い交わりがなかったが、佐々木さんも同じだった。

 主人公の飛鳥は、孤児院で育てられ、5歳で大企業札幌支店長本岡の家に養女として引き取られる。今は無いとは思うが、当時は社会的地位の高い家にはお手伝いさんがいた。しかし、お手伝いさんにだす給金がもったいないと、孤児院から養女を引き取り、お手伝いさん替わりに使うことがよくあった。

 飛鳥もそんな意図で養女にされた。遊び、勉強はまったくやることができず、奴隷のような扱いにされた。

 これに耐えかねて、家を出て帰らない。ここで裕也という青年に拾われ、裕也のもとで生活するようになる。

 孤児院出身、本岡家での非人間的生活。このことが飛鳥の物事を考える視点、軸を形成してゆく。

 摩擦が起きる。あの人はこんな人だと思うが夜思い詰めていくと、次第に思うがとれて、こういう奴だと変わる。それが、事実をさらにゆがめる。そんなゆがみが、恐怖感を増幅させる。

 途中殺人事件が起きるが、青酸カリを飲ませ殺すが、飲ませたとみせる偽装を使い、実際に飲ませたところを見せないようにしたトリックにも感心した。

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| 古本読書日記 | 06:35 | comments:1 | trackbacks(-) | TOP↑

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佐々木作品の朗読を予定しております。

来月の2/16(日)都内荻窪にて佐々木作品の朗読を予定しております。お時間がございましたら是非お越しください。


♯【コラボ企画第二弾まえのまりこと白木ゆう子の《シャンソン&朗読で綴る》ピアノライブ】(2020.2.16)



【コラボ企画第二弾まえのまりこと白木ゆう子の《シャンソンと朗読で綴る》ピアノライブin荻窪】(仮題)

【日時】2020年2月16日(日)14時~16時

【会場】都内荻窪『かふぇ&ほーるwith遊』ホール(荻窪駅徒歩10分)

ゲスト…シャンソン歌手【白木ゆう子】

【白木ゆう子プロフィール】
武蔵野音楽大学声楽科卒業
豪華客船《飛鳥》《ばしふぃっくびいなす》等の世界一周航海や世界各地のクルーズで歌う
長野冬季五輪開催中、白馬東急ホテルにて、国内外の皇室、政財界の名士の前で歌う
奈良薬師寺や、中宮寺観月会、奈良の春日大社にて奉納コンサートを行う
ホテルニューグランド横浜、ザ・プランターズディナーショーにて歌う
愛知万博パリ祭で歌う
サントリーホールにて、シャルル・デュモン氏と歌う
NHKホールのパリ祭にて、連続で歌う
国際フォーラムでの、ブリスリーズで第一回目より歌う
自ら作詞作曲したオリジナル曲『巡り逢い』CDを日本クラウンより発売
『大人の愛に乾杯を』『今度こそ幸せに~熟年婚賛歌~』を徳間ジャパンより発売、DAM、UGA、JOYSOUNDをはじめ、有線放送にも配信
YouTubeトップ画面にて“sirakitube”と検索

内容…シャンソン、朗読…佐々木丸美著『崖の館』『雪の断章』他(仮内容)

【入場料】2500円(予定)ドリンク付き 原則予約制、ご予約はこちらの『お問い合わせ』よりお願い致します。

| ちふれ | 2020/01/09 01:18 | URL | ≫ EDIT














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