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ウィリアム・ゴールディング  「後継者たち」(ハヤカワEPI文庫)

 著者ウィリアム・ゴールディングは「15少年漂流記」の舞台を未来に置き換え作品にした「蠅の王」が有名な作家。アレゴリー作家、寓話作家の第一人者。1990年にはノーベル文学賞を受賞している。

 遠い将来を描く作品は多数あるが、この作品は過去にさかのぼり人類発生起源時代を舞台として描く。

 物語はマルという年寄りを首長として、おばあさんと称される女性、二組の男女、その幼い娘と赤ん坊で一族を成しているネアンデルタール人仲間と、猿人から発展した新しい人類の集団との争いを主に描く。

 読みこなすことが非常に難しい。というのは、どちらもまだ言葉の取得数が少ない。だから、体の動きにより、何をしようとしているか読者は想像して読まねばならない。しかもネアンデルタール人と新しい人類とは違う言葉を話す。コミュミケーションがとれない。作品はネアンデルタール人一族視点で語られる。だから、新しい人類の行動が何を意図しているのか、これも想像力を駆使しないと読者は読むことが難しい。

 ネアンデルタール人一族は、老人を首長にして組織、それに伴い個人の役割がはっきりしている。食料の分配も平等。そこでの、争いは皆無で、穏やかな平和の集団。

 何しろ、新しい人類集団より、矢の攻撃を受けるが、その矢は人類からの贈り物だと思い大切に扱うくらいだから。

 一方新しい人類は、野望、妬み、嫉妬が渦巻き、集団の中で、いつも争いが絶えない。リーダーの座もいつでも追い落とそうと狙っている者が多数いる。

 そして、争いは新しい人類が勝ち、ネアンデルタール人は絶滅する。

つまり人類は、殺戮、戦争、殺し合いという原罪を、この新しい人類より引き継ぐ。物語は勝った新しい人類が暗い未来にむかって歩みだすところで終わる。

 ネアンデルタール人というのは、現在の人類より頭が大きく、能力も優れているといわれている。ネアンデルタール人が発展して、今の人類になっていたなら、平和で穏やかな世界になっていたのではと思わせる物語だった。

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| 古本読書日記 | 07:26 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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